3月27日 丸松西上商店のアナゴの干もの

触ると表面はさらさら


兵庫県香美町香住、『丸松西上商店』のマアナゴの開き干しをいただいた。
古くマアナゴの産地は東京湾、三河湾、伊勢湾、大阪湾、瀬戸内海、北部九州などであった。江戸時代江戸で、天ぷらやすしの主な種となったのも、江戸湾(東京湾)で大量に水揚げされていたからである。
その後、東京湾ではあまりとれなくなり、常磐茨城県産や三河湾産が目立ってきた。そこに宮城県産が加わる。近年では山陰、島根産が増えた。今、岩手県産が来て、とうとう北海道産が登場し始めている。産地が徐々に北上してきているのだ。
3月の但馬旅まで兵庫県日本海側でマアナゴがたくさん水揚げされていることを知らなかった。新しい産地は水揚げ後の処理に苦しむのだけど、香住ではすでにサイズ分けされており、出荷体制も整っているようである。その内、都内市場で但馬産を見ることになりそうである。
さて、今回の開き干しは但馬地方、香住漁港などに揚がったものを使って作られている。皮のヌメリをていねいに磨き落とし、強く干し上げられたもので塩分濃度は低めだ。
強く干す利点はそれだけうま味が凝縮されていることと、一般家庭でも焼きやすいことである。

黄金色に焼き上がる


1尾分あったのでまずは尾から食べる。最近、うまい方から食べたい人に変心しつつあるのだ。
焼き始めた途端に芳しいのはよく干し上げているためだ。皮の表面に脂が沸き上がってきて、皮自体を脂でコーティングする。
当たり前だが表面の芳しさに魅了される。かぶりつくとあれっ、と思うほど軽い味で後からおいしさがおしよせてくる。
結局、翌日にしようと取って置いた前の部分も胃の腑の中へ。
酒は同じく香住の香住鶴だ。
土産に持たせてくれた方にも感謝!


関連コンテンツ

サイト内検索

その他コンテンツ

ぼうずコンニャク本

ぼうずコンニャクの日本の高級魚事典
魚通、釣り人、魚を扱うプロの為の初めての「高級魚」の本。
美味しいマイナー魚介図鑑
製作期間5年を超す渾身作!
美味しいマイナー魚図鑑ミニ
[美味しいマイナー魚介図鑑]の文庫版が登場
すし図鑑
バッグに入るハンディサイズ本。320貫掲載。Kindle版も。
すし図鑑ミニ ~プロもビックリ!!~
すし図鑑が文庫本サイズになりました。Kindle版も。
全国47都道府県 うますぎゴーゴー!
ぼうずコンニャク新境地!? グルメエッセイ也。
からだにおいしい魚の便利帳
発行部数20万部突破のベストセラー。
イラスト図解 寿司ネタ1年生
イラストとマンガを交えて展開する見た目にも楽しい一冊。
地域食材大百科〈第5巻〉魚介類、海藻
魚介類、海藻460品目を収録。