3月14日 兵庫県香住のきんきvsのどぐろ
見た目は意外に似ている

兵庫県但馬地方、香住漁港で水揚げを見てまわった。早朝6時半過ぎ、山の上から差し込む朝日がまぶしく、前日の凍えるような寒さが嘘のように温かい。
沖底(沖合底曳き網)の水揚げを撮影しながら、同定していると、共進丸のアイドル系オッカサンが「寒いからこっちおいで」というので遠慮なく火にあたる。
寒さ緩むとはいえ、漁港歩きのときのたき火ほど心地いいものはない。体が温まるとなんだか眠くなってきた。
オッカサンの「のどぐろ(アカムツ)」焼こうか?」という声に目が覚めた。
たき火の網の上に水揚げしたばかりの「のどぐろ」が乗り、「きんき(ユメカサゴ)も食べな」とこれまた網の上に。
網の上で焼ける「のどぐろ」と「きんき」の表面に脂が浮き上がって、落ちた脂が煙を上げる。ちなみに朝飯前であったこともあり、腹がぐうううぴいいいぐうううと鳴り止まぬ。
焼き上がりに味塩をかけて食うと、朝日に向かって思わず吠えたくなる。そんな感動的な味である。
さて、「のどぐろ」と「きんき」、どっちがうまいか? まるで東西横綱対決のようにどっちもゆずらない。
「のどぐろ」を食らうと「のどぐろ」かなと思い、「きんき」を食べると「きんき」かなと思う。まったく違う味なので比べられないのもある。
「のどぐろ」は皮が揚げ物のごときで、身はコロイド状で口溶け感があり、これが甘く感じる。
「きんき」は焼き物らしい味。身に呈味成分からくる甘味がある。