関東の水郷地帯、板倉町の鮒のあらい
フナは魚類中もっとも刺身で食べておいしい
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「刺身にしていちばんおいしい魚はなんですか?」と矢鱈に聞かれる。
ボクは本当の事しか言わないので、「フナです」と応えている。
できれば滋賀県のニゴロブナの刺身がいいと思っているけど、養殖用のゲンゴロウブナ(河内フナ)もあなどれぬほどにうまい。
聞いた方の多くが、「また変わったことを言いますね」といった顔をするが、こちらは本気以上に正直に応えているつもりだ。
だいたいフナは中世、江戸時代、昭和になっても、もちろん場所(水域)にもよるが高級魚だった。
例えば、歴史的(文字として残っている)にも、江戸時代前期(1600年代半ば)から上流の宴席や寄り合い、茶会などで食べられている。
千利休の茶の湯を完成に導いた曾孫、江岑宗左(こうしんそうさ)の茶会にはなくてはならない品、それこそがフナの刺身であった。
ちなみに角倉了以の高瀬川もフナを食べる文化には一役買っているなど、フナを食べる文化は調べれば調べるほど奥が深く面白い。
閑話休題。
群馬県板倉町にあるハスミフーズのものは群馬県産生食用なので、養殖されたものだ(天然ものには寄生虫の危険がある)。
種はわからないが、ゲンゴロウブナを改良した「河内ブナ」なのではないかと思っている。
少々、荒っぽい造りではあるが、フナの豊かすぎるうま味と独特の淡水由来の香りが堪能できて、おいしすぎる。
酢みそで食べたが、黒い星のサッポロビール350mlととても相性がよかった。
関東の水郷地帯で買ったフナの洗い
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古くは関東全域で淡水魚をよく食べられていたが、今や関東の淡水生物の食文化は風前の灯火状態にある。
そんな中、関東の淡水魚・淡水生物を食べる文化の残るところを、できる限り見て巡っている。
くどいようだが、今回のフナの洗いは、群馬県板倉町『ハスミフーズ(群馬県邑楽郡板倉町西岡)』で造られたものだ。
板倉町は、北に渡良瀬川が、町域を谷田川が流れ、南に利根川が流れている。点々と池沼があり、東には広大な渡良瀬遊水地がある。
人はこのあたりを水郷という。
水域が広いので、淡水漁が盛んなところでもある。
ナマズ、フナ、コイ、ニゴイ、モツゴ、タモロコ、タナゴ類、ドジョウなどの魚類、ヌマエビ、スジエビなどの甲殻類がとれる。
昔、フナやコイの洗いは漁師さんに造ってもらったこともある。
コイの洗いは比較的一年を通して造るが、フナの洗いは冬しか造らないという。
これは京都でも滋賀県でも同じだ。
だから冬になるとできる限り「ふなの洗い」を買いに群馬県に向かう。
蛇足になるが、町域の南東隅は群馬県、埼玉県、栃木県が1接点で隣合っている。
珍しいので一二の三歩で三県回った、なんてやっている人がいるくらいなので有名なのだろう。
この3県の接点を中心として広がっている地域は、未だに淡水魚を比較的よく食べている。

ぼうずコンニャクの日本の高級魚事典
イラスト図解 寿司ネタ1年生



