そろそろ桜鯛の兜煮
頭部だけで1㎏
鹿児島県鹿児島市、田中水産さんからウルトラ珍魚をいただく。その上、中に大きな「鯛の兜(マダイの頭部)」が入っていた。今、鹿児島で大ダイ(マダイ)が、びっくりするほどとれているらしい。
考えてみると、庶民がマダイを食うなら春で、いままさにその春だ! と叫びたい。
ちなみに最近の魚に関する報道はへんだと思う。とれないことばかりで、とれることはあまりやらない。毎年、この時季のマダイを取りあげてほしいものだ、と思うがいかがだろう。
関西から瀬戸内海の魚島の鯛(産卵期に瀬戸内海で海が島のように盛り上がるほどマダイが群れる)のシーズンは今や3月から4月ではないか。鹿児島県ではもっと早いのだろう。
この安くておいしい、たくさんとれる時季も旬なのである。マダイの旬は秋から冬で、春にも旬があると考えるべきなのだ。
兜だけで1㎏以上ある。いったい1尾の重さはどれくらいあったんだろう。
春の兜煮は華やかに
最近、大ダイの兜は本体よりもうれしいくらいに貴重である。
まずは左の兜は振り塩をして寝かし、旅から帰ったときのために保存。右を兜煮にする。
兜は湯通しして鱗やぬめりを流す。水分をよくきって酒・砂糖・醤油・水で煮る。普通兜煮に使うはずの関ヶ原溜を切らしていたのが大誤算だが、ままよと醤油は1種類だけで煮てしまう。これこそが家庭料理のよさなのだ。
撮影しつつの鍋に蓋をして煮る。蓋をすると少し身(筋肉)と皮が蒸れてしまうが、かけ回す手間が省ける。
撮影が終わるとともに、鍋止めしておいた兜を染め付けの大皿に盛る。大皿の色に負けないところが大ダイ兜煮のよさだと思っている。これを2日間に渡ってつまみ、また飯の友にす。でかい兜の隅々までうまし。
旅から帰って、もう一方の兜を焼くのが楽しみでもある。