湯通しカツオのぬた
調味料が揃ったので作る
江戸のハイウェー旅で利根川河口域の写真撮影をしてきた。昔ときどき魚を見に来ていたところで、ボクが当時、定番としていた調味料を買い求めてきた。
この「ちばらき」と呼ばれている地域は、茨城県土浦市、江戸時代に亀城城主、土屋家が奨励していた醤油(ここから亀甲という言語が生まれ、千葉県に亀甲とつく醤油が多いという説がある)、千葉県佐原の酒、みりんや油など、この地域には優秀な調味料がたくさんあるのだ。
中でも我が家で定番的に使っていたみりんが、佐原、馬場本店の白味醂だ。色の淡いみりんで、煮つけやタレに使うのではなく、甘味づけに生で使うためのものだ。八方だしなどに使っても非常に上品な味に仕上がる。
せっかく生で使うみりんを手に入れたので、これで酢みそを作る。みそは三重県四日市の「伊勢蔵」のもので、これまたおそろしくうまい。酢は非常に穏やかな酸味の岩手県花巻市の宝清酢(たからせいす)だ。上質の調味料に触発されて料理が作りたくなるなんて久しぶりだ。
カツオしかないので湯引き造りにする。湯に数秒落として氷水に落とし、水分をきる。適当に切っておく。江戸時代のカツオの刺身は完全な生ではなく、湯をかけて切りつけていたと、尊敬している鈴木晋一が述べている。ある意味、湯通しも江戸風かも知れぬ。
ギョウジャニンニクはゆでておか上げにして適当に切る。
酢みそはみそ、酢、みりんを合わせただけ。これだけで深みがありながら後味のいい合わせみそになる。
後は材料を総て和えるだけ。
合わせた酒は兵庫県但馬、香住鶴の木桶仕込み。きりりと引き締まった味わいに、昔ながらのぬたがやたらにうまし。