メダイの兜煮は本身よりも尊し
こってり野暮な煮方で煮たらご飯に合う

八王子綜合卸売協同組合、舵丸水産に三重間熊野市からメダイが来ていた。
5.4kgなのでとても1本は買えない。
「半身ね」というと「いいよ」だった。
この日、ボクは疲れが体中にまわりにまわり、体がゼリー状になっていたので魚を下ろす気にもなれない。
半身買いはこのようなときにとてもありがたい。
「頭もおくれ」
ということで頭を梨子割りにしてもらう。
楽楽、楽ちんとしか言いようがない。
ご飯のおかずにさっそく頭半分を煮る。
頭は湯通しして冷水に落としてぬめりを流す。
水分をよく切り、酒・砂糖たっぷり・醤油(高知県宿毛市。フンドウカネカ こいくち 甘口醤油 篠上商店)ではじけるほど田舎風に煮てみた。
煮つけの味つけは本能の赴くままになので、疲れが甘味を欲しているのである。
もちろん、ご飯をチンしてぱくぱくと、メダイの皮のねっとりした味で食べる。
皮だけでも充分満足できる味だけど、ついでに身の方も食らう。
濃厚な味つけで煮ても身は柔らかく、身自体が主張するところはわずかだ。
でも、ご飯にはこの嫌みのさが生きる。
これにてご飯一膳。
煮汁だけで一膳。
終いに垂らした高知県土佐市、白木果樹園の花柚が効いている。
これなどメダイという平凡すぎる魚の煮つけに持って来いだ。