生食用カキで割下鍋

深夜、小鍋仕立てのカキ鍋


ボクのおさかな365以上日記 2月12日 生食用カキで割下鍋
1月、2月はイヌ・サルの月なのでやたらと慌ただしい。根を詰めて気がつくと日付が変わっていたりする。忙しくなるなと思い買い込んでいたのが生食用の剥きガキで、よくよく見るとなんと岡山県日生で剥かれたものだった。日生にも長いこと行っていない、「カキオコ」はいつまでだろう? などと考えてしまう。
「酢がき」を作ろうと思ったが、大根を下ろす気力がない。外にはまだ雪が残っている。冷え込んでいるのもあり、せっかくの生食用なのに鍋を作る。生食用は大根おろしや片栗粉を使って洗う必要がない。ザルに入れて振り洗いして水分を切るだけでいい。
後はあるもの野菜をざっと洗っておく。
いちばん簡単な鍋ものはなにか? 割下鍋ではないかと考えている。
割下鍋というのはボクの造語である。長谷川幸延や、船場のぼんぼんたち(大店に生まれた男子で基本的に店の後は継がない)の話からすると料理屋では、土鍋などに材料を入れておき、汁(割下)を張っておく。これを火に掛けるだけなので料理店としても手間いらず、一般家庭でも材料を揃えることだけが手間というウルトラ簡単な食い物だ。

材料を小鍋に並べる


「割下」とは? 大正昭和と活躍した劇作家、長谷川幸延の〈わりした、即ち出汁(だし)である。わりというのは、醤油、砂糖、酒、みりんの配合の割合というほどの意味である。〉がわかりやすい。これに水を足すと鍋汁になる。我が家では醤油・砂糖・酒・みりん・水(場合によってはカツオ節だし)を合わせて煮立て、味加減する。味はぱきっと鋭角的に感じるくらいがいい。
立春とはいえ外は冷蔵庫内のよう。野菜はベランダで保存しているので、寒さこらえて使えそうなものをあさる。春菊とネギしかないが、マガキの煮え時間からするとちょうどいいだろう。後は豆腐半丁。
さて、今回はカツオ節だしを使った割下でマガキを煮ながら食べる。軟体類である二枚貝、イカなどの汁にはカツオのイノシンが欠かせないと思っているがいかがだろう。
手の平に乗る程度の小鍋仕立てで煮えすぎない内にカキを食べ、適度に野菜を食べる。疲れているときの煮えたカキのなんと滋味深いことか。
酒は千葉県神崎町の不動を一合だけにする。


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