5月も末の兵庫県明石浦のマサバを生で
味見の刺身、本気で食らう、5月末かな

兵庫県明石市は歩くのが、とてもとても楽しいところである。
例えば山陽本線明石駅から南に下ると海に出る。
そのまま西へ西へと歩く。
そこは商店もあるけどどちらかというと住宅地といったところで、このあたりを材木町といい、また海を目指すと港町、岬町に入る。
このぐちゃぐちゃした町と町並みが好きだ。
おいしい玉子焼の店があり、いいすし屋がある。
オバチャンがやっている喫茶店に小さな魚やなどなど、また歩きたいな、とぞ思う。
さてその海辺にあるのが明石浦漁港で、今回のマサバはここから来ている。
ここに水揚げされる魚は原則的に活魚であって、当然、今回のマサバも活け締めである。
明石浦というだけで、とりあえず刺身にしたのは、ここで水揚げを何度も見ていて、場内が全部活け場であり、締め方が完全無欠だからだ。
明石海峡ではあまりたくさんはマサバがとれない。
水揚げが増えたのは最近のことではないか。
体長34cm・679gの雌で、大きな真子を抱えている。
三枚に下ろすとじんわりと身が反る。
血合い骨は抜けるが皮が硬くて剥きにくい。
お昼ご飯に薄めに切りつけて、柚子胡椒に、柑橘のすだちを添える。
柑橘柑橘なのは徳島県人の性である。
一切れ一切れにちょんちょんと少しだけ柚子胡椒を乗せて、すだちを搾って食べる。
ちなみに真横に、ご飯はあるけれど、ご飯の友ではなく、刺身と凍頂烏龍茶でしみじみ、じっくり味わう。
やはり脂がないために味にこくはない。
でもマサバらしい味が豊かで、食感が強くて、一切れにドラマがある。
この脂のない時季に、脂のない個体のよさを感じることができることこそが、自然そのままを楽しむことでもある。
少し仕事をしただけで、やけにうま味が増量する明石のサバ

同時進行でしめさばを作る。べた塩をして2時間ほど。
酢で表面の塩を洗い流し、水分を拭き取り、今度は福井県小浜市、とば屋酢店の純米醸造酢壺之酢に1時間つけて取り出して一日寝かせる。
完全な生でもうまいが、軽く締めた方がよりうまいと思う。
身が生きているので1時間酢に漬け込んでも酢が入り込みすぎてない。
かといって生でもない。
豊かなうま味が表面に浮き出してきている。
この母サバはこのまま播磨灘に入って産卵するのだろうか?
それとも明石海峡で産卵するとか。
海は年々変化する。