脂のりのりムツのフライ
脂がのっているのに上品な味
ムツのフライ
市場の釣り師達は最近、キンメ通いをしているようなのだ。みな名人ばかりなので大きいの、小さいのとクーラー満杯で帰ってくる。相模湾島周りのキンメ釣りは個人的にはつまらない。釣れる魚のほとんどが本命ばかりだからだ。ボクの本命は本命以外にあり、なのだ。
今回の個体は八王子総合卸売協同組合、マル幸のクマゴロウ様ほかの釣果、大量に並ぶ大釣りキンメダイの中に黒一点という感じで混ざっていたのがムツだ。背鰭の前後真ん中から側線までの数を数えて、クロムツではないことを確認、珍しい魚ではないものの味に惹かれて持ち帰る。
分解して(水洗いして)、細部を確認して、再度ムツであることをチェックする。ちなみに体長30cm・434gなのでやや小振りながらこのサイズあたりから味が格段によくなる。小ムツでもうまいが、それ以上になる。
刺身、皮霜造りで食べて、もう少し刺身で食べたいのを我慢して半身に塩コショウして保存する。
これを中一日置いてフライにする。脂ののった魚を油で調理する。これが意外に軽い味に仕上がることは最近わかったことだ。
塩コショウした皮付きの身に小麦粉をまぶし、溶き卵をくぐらせる(量があるときはバッターを作る)。パン粉をつけて高温で短時間揚げる。
さくっと香ばしい中、身から液体状になった脂が染み出してくる。これが魚のうま味と合体して実にうまい。揚げると身(筋肉)が層を作るのがいいフライの条件なのだけど断面に、その層がくっきりと見える。
たまには本物ビールが飲みたいとは思うが、偽ビールでさくさく。