倉橋島の魚、目の下1尺半、鯛白子天ぷら
鯛白子は、春は盛の、極上至極な天種

4月24日、広島県呉市倉橋島、『日美丸』、平本勝美さんにいろいろ送って頂いた。
当然、中には倉橋島名物の鯛(マダイ)が入っていた。
桜は散り、5月、6月の産卵盛期を迎えようとしている時季。
雄で体が黒ずんではいるものの、精巣(白子)はまだ硬く成熟度は低い。
白子は明らかに食べ頃である。
白子は天ぷらにした。
鯛白子天ぷらは東京都内、天ぷら屋では春の定番種だと思っている。
白子を揚げるとき、衣を改めて作り直してから揚げているのが記憶にある。
たぶんクルマエビや「めごち(ネズミゴチ)」のための、薄めの衣をつけて高温で揚げると、火が通り過ぎる、もしくは中の白子が散るのだと思う。
天ぷら屋では職人さんのなすがままに食べたことはあるが、めったに追加したことはない。
その「めったに」の種が白子だった。
白子はていねいに取りだし、中の筋などを取り去る。
軽く振り塩をして小麦粉をまんべんなくまぶして、厚めの衣をつけて高温で揚げる。
使っているのは市販の天ぷら粉(これだと技いらずだ)に氷で冷やした水で厚めの衣を作る。
一般家庭なのでわざわざ神経を使って衣を作る気になれない。
最近の天ぷら粉はとてもヨイヨイよいやサ、だ。
揚げたてを食べる。
白子の衣は厚めの方がうまい。
さくっと音が聞こえるくらいでなければならない。
当然、中から一瞬だけ熱々の半液化した白子がとろりとくる。
舌触りは生クリームのようだけど、ちゃんと魚らしい味わいがある。
残念なのは、5分以内に食べないとおいしくないことかな。
鯛の白子天ぷらに敬意を表して、本物ビールの晴れ風500mlを開ける。
ボクに好みのビールが出来るなんて、思わなかった。
日美丸さんに感謝!