塩釜産本マのぶつブツぶつブツ
いちばん下だっておいしいのだ、と思う1日目

ときどき無性に本マが食べたくなる。
ただ今のボクには、本マ(クロマグロ)は赤身ならなんとかなるが、脂の多い部分は最近重すぎる。これは明らかにデスクワークが長すぎるせいで、歳のせいではないと思っている。
古今亭志ん生など死ぬまで毎日でも中トロだったらしいし、独特の茶漬けにするのも中トロだった。息子の馬生もそうだ。おでん屋で、中トロを食べておでんを食べないで帰ったことも多かったようだ。
志ん生のように早く中トロがおいしいと思う体にもどりたいけど、フル回転の4月いっぱいはむりだ。
さて、本マ(クロマグロの成魚)の尾に近い部分が安いのは赤身だし、筋が多いからだ。
ただ本マの筋の際には味があるのである。
初日はなんとか平造りに近い形になったが、決して感心できるような見た目にはならなかった。
でも脂が思った以上に乗っていて、半中トロ的な味がした。
いちばん下(尾に近い部分)だって本マは本マだ。
高清水本醸造、燗酒うまし、春の宵。
本マの味に惚れたる2日目

翌日は正真正銘の本マの「ぶつ」となる。
脂が多く筋の少ない部分で、ほんまに本マの味がして、実に濃厚にうまし、だ。
この酸味が少なく、味の奥行きがある味というのは文字に出来ない。
ピアノフォルテではなくパイプオルガンの音のような味。
これまたいただきものの、さつま白波の黒白波、お湯割りを1ぱいだけ。
芋焼酎の香りに負けぬ本マの味。
本マにも少々飽きたる3日目

3日目は本マに少し飽きた。
いきなり辛子醤油で和えてくらう。
わさび醤油の方がいいとは思ったものの、ないので辛子だ。
意外に辛子の平面的な辛さにも合う。
ちなみに半分を残して、半分でご飯を食べたら体層おいしかった。
酒は高清水本醸造室温、ご飯は青森県の晴天のへきれき。
さすがに本マの味にも秋田県の酒。
ぶつの大きさがぐんと小さくなる4日目

4日目の「ぶつ」ははっきりいって細切れ状となる。
それでも味は本マの上(マグロの頭に近い方)と変わらない、と思いたい。
毎夜毎夜の本マの「ぶつ」で、当分マグロ断ちするつもり。
終いの本マの友は澤ノ井の大辛口。
これが終いと、本マは言わぬ、東京の地酒。