絶滅危惧、鹿児島の、つけ揚げ

ホウボウ属(Chelidonichthys)について

Species Chelidonichthys capensis (Cuvier, 1829)
Species Chelidonichthys cuculus (Linnaeus, 1758)
Species Chelidonichthys gabonensis (Poll & Roux, 1955)
Species Chelidonichthys ischyrus Jordan & Thompson, 1914/ツマリホウボウ
Species Chelidonichthys kumu (Cuvier, 1829)
Species Chelidonichthys lastoviza (Bonnaterre, 1788)
Species Chelidonichthys lucerna (Linnaeus, 1758)
Species Chelidonichthys obscurus (Walbaum, 1792)
Species Chelidonichthys queketti (Regan, 1904)
Species Chelidonichthys spinosus (McClelland, 1844)/ホウボウ


老齢化もあるが、「つけ揚げ」のおいしさが知られていない


さて、魚食普及に重要なのは水産物の知識である。最近、未利用魚、未利用魚と騒がしいが、ちゃんとわかっている人いるんだろうか。厳密な意味での未利用魚は存在しないのに未利用魚という言葉が一人歩きしている。むしろ低価格魚としたほうがいい。
当然国内各地で聞取をする必要があるが、例えば漁業者に聞いてもいいが、加工品業者、買受人(大卸・仲卸)、小売業の話も重要であり、消費者も重要だということを忘れている人がいる。むしろいちばん未利用魚がわからないのは行政、そして漁業者かも知れないという現実も知るべきだ。
また最近、未利用魚にマイナー魚を加えるなど、魚価の変動を知らずにいろいろ語る、間違ったことを言うヤカラまでいる。
魚価を知らなければ、未利用魚はわからない。そのためには、日常的に魚を買っていないとダメだが、そんな人間見た事がない。


今回の主役はサメである。また未利用魚は漁業者だけの話ではなく、そのバックヤード、魚の利用者(加工業者)の話だということを語っておきたい。
写真の物体を間違っても「薩摩揚げ」などと言ってはならない。
最近、「薩摩揚げ」と呼ばれているすり身を揚げたものは、もともとは東南アジアから台湾、そして沖縄から鹿児島(薩摩)にやってきたのだと考えている。
東京には鹿児島から伝わった、それで東京では「薩摩揚げ」と呼ぶ。それを愚かにも一般用語化してしまったのだ。
最低限、鹿児島県人にだけは「つけ揚げ」と言って欲しい。

さて、昔、このすり身を揚げたり蒸したりする業界が至って元気だった。産地での水揚げされた多種類の魚の最後の引き受け手だった。全国津々浦々にこの「くずしもの」と呼ばれる揚げ蒲鉾や蒸し蒲鉾、ゆで蒲鉾を作る店があった。
鹿児島市内にも多くの業者があったことは、向田邦子(1929-1981)のエッセイにもある。
今、大問題なのが、この「くずしもの」を作る業者が急激になくなっていることだ。
生き残っている業者に共通点がある。地元の材料を使わないことだ。
鹿児島県の「つけ揚げ」の材料として挙げられるものは、サメ類、ブリ、シイラなどである。安いものはなんでもよかったのかも知れない。
これらなんでもかんでもすり身にして「つけ揚げ」にする業者が急激に消えて行っている。

問題になるのは昔は引く手数多だったサメ類、シイラなどが未利用魚になることだ。
そしていちばんの問題点はサメ類だとも言える。
イタチザメ科のイタチザメ、メジロザメ科のスミツキザメ、ネズミザメ科のアオザメ、オナガザメ科のシロシュモクザメ、アカシュモクザメ、などなどだ。
これら練り製品の衰退で生まれるものを「伝統的食文化衰退による未利用魚」としたい。

色黒、野暮ったいけど味は最高の「つけ揚げ」


サメ類の「つけ揚げ」は非常に味わい深い。
タラ(スケトウダラ)やイトヒキダラを主とした「薩摩揚げ」にはない、深いうま味がある。
問題は黒っぽい色だけだろう。
今どきのタラ類を使った見た目のいいものと比べると、野卑で木訥としているが、味は今どきのものよりもうまい。
しかも自然に優しい。
この見た目はよいがエネルギー消費の多い自然に優しくない「薩摩揚げ」ではなく、漁港の水揚げを無駄なく使い自然に優しい「つけ揚げ」を選んで欲しいものである。
ただその本物のの「つけ揚げ」の店が瀕死の状態にある。
鹿児島県の「つけ揚げ」を救いたいがなんとかならないか?


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