松島産剥き身で、やたら久しぶり、の酢ガキ

素朴かつ、単純な酢ガキを上等の剥きガキで作る


二杯酢だけで柚子も加えず、青みもなくと、実にシンプルな酢ガキを作った。
最近、あれこれやり過ぎている気がしていたのもある。

この単純な二杯酢の酢ガキが普通以上にうまい。
今回の宮城県松島産のマガキは、身の膨らみが強く、濃厚なうま味としっかりした食感が楽しめた。
無駄なことは、やらずもがなだったということもある。
小浜の壺仕込みの酢も、上越市の濃口醤油も、ともに香りも味も強いのに、じゃまどころか、役不足に感じるほどマガキがうまい。
やはりこの水切りしてくる剥きガキは、少々高くても買いだな、なんて思った。

鬼下ろしで下ろし、粗く大小あり過ぎの大根がこれまたやけにうまいのも発見だった。
盛り付けてボウルに残ったものまで食べていたら、意外に主役を食っていたのかもと感じたほどだ。

この二杯酢の酢ガキなどというものは、本来、至って日常的なものでしかないが、上等の剥きガキ、上等の調味料、上等の大根を使うと、ハレがましい味となる。

こんなにぷりっとして膨らみの強い剥きガキはめったにない


八王子綜合卸売協同組合、舵丸水産に生食用剥きガキ(鈴幸水産 宮城県宮城郡松島町)があって、値段を聞いたら「消費期限が近いから安くしてやるよ」というのに飛びつく。
なにしろ2月の市場は毎年低調である上に、今年は特別低調でめぼしいものがない。

酢と醤油だけの二杯酢と雪の中でおいしくなった大根と


さて、中身をバットに開けたら、見事としかいいようがないほど膨らんだ剥き身が飛び出してきた。
買った当日は酢ガキと鍋、翌日は揚げ物と焼き物にする。
まずは酢ガキ。
水切りしてきれいなので塩水で軽く洗って水切りする。
ちなみに普通の剥きガキは大根おろしで、汚れをしっかりとるべきだと思っている。
水分をよくきり、鬼下ろしで下ろした福島県南会津町の雪囲いの大根と和え、二杯酢を加え、1時間ほど置く。
器に盛り付けて、山口県萩市、『柚子屋本店』の赤おろしをちょんと乗せる。
なんの技もいらぬが、マガキはできるだけ水分を取ること、二杯酢は味見しながらていねいに酢と醤油を合わせることだ。
念のために、酢は福井県小浜市の『とば屋酢店』の壺仕込み純米酢、醤油は新潟県上越市『高野醤油味噌醸造所』の濃口醤油だ。
■舵丸水産は、一般客に優しいので、ぜひ近くにお住まいの方は一度お寄り頂きたい。


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