師走のスマは焼いてうまし

水分が抜け、重さは半分程度になったかも


鹿児島県鹿児島市の田中水産さんから探していた魚がやってきた。長年探していたので涙がポロリなのだけど、脇にそっと細長いものが。
触ったら硬い。むむむ、っと緑の薄紙をひっぺがしたらスマ・カツオくんである。標準和名はスマで、鹿児島では「おぼそ」、「星がつお」などという。
今回送って頂いた主役が、長谷川一夫だとしたら、西村晃とか小沢昭一のようなもの。その心は、どっちが主役かわからない、だ。

ワタを抜いて頂いていて、計った感じではちょうど1キロくらいだろう。
もちろん刺身でも、あぶりでも食べたが、なんとなくいつも通りに、いつもの味ではもの足りなくなる。
頭部に近い部分に塩をまぶし、ほぼ一日掛けて塩を馴染ませて、40分あぶるように焼き上げた。
水分が抜けて重さは半分程度になったけど、決してパサつかず、うま味の塊となる。

上から抑えるとガシっと音を立てて潰れる


焼き上がったら上から押さえつけるようにつぶして手でくらう。
表面の香りはまるで燻製のようである。
使ってもいないのに桜の木を燃やしたような香りがする。
しかも身(筋肉)と皮と薄い骨が名状しがたい味なのである。

あまりのうまさに心が勝手に躍り出す。
脂が非常に乗ったスマの焼き物はなにものにも代えがたい。
ちなみに、硬い骨の一部はともかく全量の98パーセントが胃袋に納まる。

重さ1キロなので、スマとしては決して大型ではない


師走の、鹿児島のスマはどうかしている、と思うほど脂がのっていた。
しかもていねいな処理から身がとても締まっている。
マグロもカツオも飛んでけー、っと思ってしまうほどの味だ。


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