縞模様もとれぬイサキだが、グンバツにうまし

脂の塊にも思えるが、やはり天然ならではの後味が楽しめる


この時季のイサキに見向きもしない料理人がいるのが残念でならない。
ばらつきはあるものの、2歳・20cm前後のイサキは年間を通じて味がいい。
難しいのは2歳で産卵する固体が3割くらいあることだ。
今回触って脂を強く感じたのは産卵しなかった固体で、やや脂が少なく感じたのが産卵した固体だろう。
いずれにしても2歳魚は安定している。
二宮定置の水揚げを見ている限りでは、2歳のイサキはみな左右幅、体高ともにある。
明らかに2歳魚は今、味の盛期の入り口に到達している。

刺身を見ると黄色みががかった部分がある。
脂の層が厚い腹部だ。
鮮度がいいのにとても柔らかいが、これも脂がものすごく多いためだ。
この脂に独特の風味がある。
口溶け感が強いので口中、甘味ともうま味ともわかりにくいもので満ちる。

表面こそ脂だけど噛みしめるとちゃんと食感も感じられるのが不思議。
9月の終わりから10月の始めまで、体長30cm超えの痩せたイサキを食べているので、まったく別の魚のように思える。
ちなみに最近、1㎏超えのイサキはキロ1万円以上するのが当たり前なのである。
なんどか万超えのイサキを買っているが、味からすると今回このあまり高値のつかない2歳に負けていると思う。

大漁だと定置網漁師はたいへんかつ、てんてこ舞い


2024年10月4日の神奈川県小田原市、小田原魚市場、二宮定置は大漁だった。みなが忙しく右往左往しているところで、ボクはあいかわらず単なるお邪魔デブそのものだった。
以上は何回か書いた。
思った以上にイサキが多いのにビックリした。
何尾か分けていただく。
水揚げされているのを見ると、サイズはばらばらで明らかに瓜坊(幼魚)もいるし、体長20cm前後もいる。
とても味がいいにも関わらず、小さいとダンベ(トン単位の大型容器)行きとなる。
この2歳・20cm前後はぎりぎり出荷サイズである。

1歳は確実にダンベ、2歳は微妙な存在なのだ


この20cmサイズにばらつきはあるものの、触っただけでゴールデンな固体があった。
その別格を刺身にする。
鱗を取らないで頭部を落として三枚に下ろす。
腹骨・血合い骨を取り、皮を引く。
これを刺身状に切る。

二宮定置のみなさん、ありがとうございました。


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