最大で直径50mm前後になる。石灰質の殻底があり、白く周殻(山状の部分)が高い。1層の主壁のほかに瓦状の楯板がある。
ミネフジツボの生物写真一覧 (クリックで上に拡大表示)
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珍魚度・珍しさ
★★★
がんばって探せば手に入る魚貝の物知り度
★★★★
知っていたら達人級食べ物としての重要度
★★
地域的、嗜好品的なもの味の評価度
★★★★
非常に美味
分類
節足動物門甲殻亜門顎脚綱鞘甲亜綱蔓脚下綱完胸上目無柄目フジツボ亜目フジツボ上科フジツボ科フジツボ属外国名
学名
Balanus rostratus Hoek,1883漢字・学名由来
漢字 峰富士壺 Minefujitubo
由来・語源 峰は山の頂のことで「高い」という意味合い。フジツボの仲間で高いという意味。フジツボは漢字で示すように富士山の形に似ているため。地方名・市場名 ?
生息域
海水生。潮間帯〜浅い岩礁域。
関門海峡から北の瀬戸内海、山口県瀬戸内海側、広島県瀬戸内海側、対馬以北の日本海側、三河湾、浜名湖以北の以北の太平洋側。生態
雌雄同体。隣接する個体同士が精子を交換する。
熊手のような蔓脚を広げて海水中のプランクトンや有機物をキャッチして生きている。
幼生期(ノープリウス幼生、キプリス幼生)をへて岩などに着生する。
岩などには水中接着セメントという物質で張り付く。基本情報
対馬、瀬戸内海、三河湾以北の大型の貝類や岩などに付着している。
オオアカフジツボとともに、国内ではもっとも大型のフジツボで、唯一流通しているフジツボである。日本各地で見られるが、漁業的には青森県の特産物でもある。
青森県で「かき」と呼ばれているのは、付着しているものを「掻き取って」採取するためで二枚貝のマガキなどと同じ語源である。
青森県では戦後しばらく操業されていたアカガイ桁曳漁業で混獲され,漁業者の間で食べられていた。青森県の「かき」は、1990年ごろ、青森県内でも食用となり始め、青森県で流通するようになる。2000年前後、築地場内でも見られるようになっている。東京での流通はもっと古いかも知れない。
現在でももちろん特種なものではあるが、関東でも夏の定番的な水産物として知っている人が多い。
珍魚度 生息域は広く意外に海で探せば見つかる可能性がある。流通するものはすべて青森県産で関東で見かけることが多い。探せば手に入る。水産基本情報
選び方
甲殻の部分がよく動くもの。味わい
旬は7月〜9月。食べられる部分である筋肉・内臓などは夏になると膨らむ。
ほとんどが石灰質の殻。可食部は蔦(つる)状のプランクトンを捕らえる部分を動かすための筋肉と生殖巣・内臓など。全体の大きさに比べて可食部分は非常に少ないが、濃厚な旨みと、エキスが味わえる。
甲殻類でありエビやカニなどに近い生き物であるが、カニの内子のようでもあり、ウニのようでもある不思議な味で、濃厚なうま味がある。栄養
ー危険性など
ー食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)
ミネフジツボの料理・レシピ・食べ方/煮る(蒸し煮)、焼く(直焼き)クリックで閉じます
ミネフジツボの酒蒸し 蒸し上がったら殻を食べやすく割っておき、爪(蓋板)をゆっくり引っ張ると筋肉と内臓が出てくる。夏になるとこの部分が太り、ふんわりと柔らかい。
口に入れると甲殻類であるエビやカニの風味とウニの風味を足し算したような味が楽しめる。濃厚な味わいであるが、後味がいいのも特徴だろう。周殻も含めると数十分の一程度しか食べられる部分はないが、このおいしさは他に類をみないものなので、納得できるはずだ。
好んで食べる地域・名物料理
ー加工品・名産品
ー釣り情報
ー歴史・ことわざ・雑学など
■ 国内ではもっとも大型のフジツボ。
■ 養殖されている。参考文献・協力
『水産無脊椎動物Ⅱ 有用・有害種各論』(奥谷喬 恒星社厚生閣)
『陸奥湾におけるミネフジツボの繁殖・幼生分布・付着・初期成長』(加戸隆介、 鈴木潤也、鈴木祐二、難波信由 、小河久朗 北里大学海洋生命科学部)