21cm SL 前後になる。体はやや側へんし細長い。胸鰭は尻鰭起部に達しないか僅かに超える。目の上と前方、下顎ふきんに鱗がない。
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魚貝の物知り度
★★★★★
知っていたら学者級食べ物としての重要度
★★
地域的、嗜好品的なもの味の評価度
★★★★
非常に美味
分類
硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目イボダイ亜目エボシダイ科ボウズコンニャク属外国名
学名
Cubiceps squamiceps (Lloyd,1909)漢字・学名由来
漢字 坊主蒟蒻 Bouzukonnyaku
由来
イボダイ亜目のハナビラウオなどを「コンニャクウオ」といい、古くはコンニャクアジ(Icticus ischanus Jordan & Thompson, 1914シノニムとなりPsenes pellucidus Lütken, 1880/ハナビラウオ)という種があった。そこで「こんにゃく」という言語が登場する。
蒲原俊治はチゴメダイとしているが、『魚類の形態と検索』(松原喜代松 岩崎書店 1955)でボウズコンニャク(チゴメダイ)になり、やがてチゴメダイは消滅する。形態を見る限り明らかにチゴメダイなのに不思議である。
ちなみに『魚類の形態と検索』(松原喜代松 岩崎書店 1955)には蒲原俊治高知沖採取1952年とあり、松原喜代松は採取日不明で「尾鷲沖自ら採取」としている。となるとボウズコンニャクの和名提唱者は松原喜代松となる。
ハナビラウオは体が柔らかくこんにゃくを思わせるが、本種は体がしっかりとしている。明らかにボウズコンニャクは不適切な和名だ。蒲原稔治
Toshiji Kamohara(1901-1972 高知県生まれ。高知大学)。魚類学者。52種の新種を記載。日本初記録種209種を報告。
Matsubara
松原喜代松(Matsubara Kiyomatu 兵庫県現宝塚市 1907-1968)。1932年、坂本喜代松(Sakamoto)から婿養子になり松原喜代松に改名。水産講習所(後の東京海洋大学)に入学。京都大学初代農学部水産学科教授。『日本産魚類検索』、『魚類の形態と検索』など魚類学史上重要な著書を多く残す。地方名・市場名 ?
生息域
海水魚。水深150メートル以上の底近く。
北海道太平洋沿岸、千葉県〜九州南岸の太平洋沿岸、新潟県〜九州南岸の日本海・東シナ海沿岸。東シナ海大陸棚縁辺、済州島、台湾南部、インド・西太平洋の温帯・熱帯域。生態
ー基本情報
日本海や駿河湾、熊野灘などでも揚がるが、鹿児島県がいちばん安定的した水揚げがある。関東などには、希に入荷するもの。
鮮魚だけではなく干ものとして流通することもある。
小型魚だがたいへん味がよく、小骨も少ない。水産基本情報
市場での評価 入荷量は非常に少なく、値段はあまり高くない。
漁法 底曳き網
産地 鹿児島県選び方
目が澄んでいるもの。触って張りのあるもの。味わい
旬は秋〜春
鮮度のよいものはなかなか手に入らない。
鱗は取れやすい。皮は厚みがありやや強い。骨は柔らかい
身は白濁した白身。メダイに似ている。卵巣は美味。栄養
ー危険性など
ー食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)
ボウズコンニャクの料理法・レシピ・食べ方/生食(焼霜造り、刺身)、焼く(塩焼き、開き干し)、揚げる(フライ、唐揚げ)ボウズコンニャクの焼霜造り 深海魚で脂がのっている個体が多い。水洗いして三枚に下ろし、腹骨・血合い骨を取る。水分をていねいにとり、皮目をあぶり、冷凍庫などに3〜4分入れて粗熱を取る。皮目の香ばしさ脂の甘味、うま味が豊かで非常に美味。クリックで閉じます
ボウズコンニャクの刺身 水洗いして三枚に下ろして血合い骨・腹骨を取る。皮を引いて刺身に切りつける。脂が身自体に混在して白濁している。口にいれるとトロッとして甘味を感じる。魚らしいうま味もあり非常においしい。クリックで閉じますボウズコンニャクの塩焼き 水洗いして、振り塩をする。1時間以上寝かせてから焼き始める。じっくりと焼き上げると身から脂がにじみ出してきて表面が揚げたようになる。皮目はとても香ばしく、身には独特の風味があり、柔らかい。とても味わい深い。クリックで閉じますボウズコンニャクの開き干し 量がまとまれば干ものにして保存するといい。水洗いして頭部を落として開く。立て塩に30分(脂がのっているほど長くする)し、干し上げる。脂に独特の風味があり、くせのない味わいでとても魅力的な干ものになる。クリックで閉じます好んで食べる地域・名物料理
ー関連コラム(郷土料理)
加工品・名産品
干物 開き干しになっている。日本各地。釣り情報
ー歴史・ことわざ・雑学など
ー参考文献・協力
『日本産魚類検索 全種の同定 第二版』(中坊徹次編 東海大学出版会)