チリメンカワニナ

Scientific Name / Semisulcospira reiniana (Brot,1874)

チリメンカワニナの形態写真

殻長35ミリ前後になる。螺肋、縦肋がはっきりして縦肋上に顆粒(粒状に盛り上がる部分)がある。この縮緬状の表面はいろいろ変異に富んでいて、あまり目立たないカワニナに似た個体もある。

    • 魚貝の物知り度

      ★★★★★
      知っていたら学者級
    • 食べ物としての重要度


      食用として認知されていない
    • 味の評価度

      ★★★
      美味

    分類

    軟体動物門腹足綱前鰓亜綱吸腔目カニモリガイ上科カワニナ科カワニナ属

    外国名

    学名

    Semisulcospira reiniana (Brot,1874)

    漢字・学名由来

    漢字 縮緬川蜷
    由来・語源 貝殻の表面に縮緬状の隆起があるため。
    川蜷
    川にいる蜷(巻き貝)という意味。タニシが湖(止水)や流れの穏やかな水路、田にいるのに対して、流れのある場所に生息するから。

    地方名・市場名

    生息域

    淡水、汽水域生。
    本州、四国、九州。

    生態

    基本情報

    あまり大型にならないが、カワニナに似た個体があり、カワニナを食べる地域ではともに食用になっている模様。
    例えば福岡県久留米市では、筑後川で採取したものと、用水路の掃除などを行うときに採取したカワニナを食べる習慣がある。その水路に生息するカワニナはチリメンカワニナである可能性が強い。
    また広島県庄原市で食用となっているものも本種の可能性がある。

    水産基本情報

    市場での評価 流通しない。
    漁法 採取
    産地

    選び方

    原則的に生きているもの。

    味わい

    旬は不明。
    熱を通したものだけを食べていい。
    クセがなく、かすかだが旨みがある。
    筋肉部分は少なく、タニシなどと比べると味わいに欠ける。

    栄養

    危険性など

    カワニナ科共通項目
    横川吸虫/横川吸虫の第1中間宿主で、アユ、フナ、オイカワ、タナゴ類などを第2中間宿主とする。最終宿主は哺乳類。横川吸虫は少数の寄生では症状が出ないが多数寄生すると、慢性炎症、ポリープがみられ、下痢、腹痛を起こす。
    ウェステルマン肺吸虫/カワニナは第1中間宿主。第2中間宿主はモクズガニ、サワガニ、アメリカザリガニなど。最終宿主は哺乳類。肺、皮下、脳、腹腔内臓器、縦隔洞、眼窩、泌尿生殖系、咬筋などに寄生。長期間の寄生により細胞破壊し、虫体の周囲に結節状の中囊を作り、中には血液、吸虫の排泄物、吸虫の卵、ショルコー・ライデン結晶などを含んだ液体に満たされている。症状は血痰が出、脳に寄生した場合、頭痛、嘔吐、癲癇(てんかん)様発作、視力障害、麻痺など脳腫瘍に似た症状が出る。ときに死亡に至る。

    食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)

    調理法 ゆでる、みそ汁
    ゆでる◆ゆでて、しょうゆ、もしくはしょうゆと砂糖を合わせたものに漬け込んでも美味。
    みそ汁◆シジミと比べるとよりあっさりしたくせのない出しが出て美味。

    好んで食べる地域・名物料理

    加工品・名産品

    釣り情報

    歴史・ことわざ・雑学など

    参考文献・協力

    協力/千葉県立博物館 黒住耐二
    『日本産淡水貝類図鑑 1 琵琶湖・淀川産の淡水貝類』(紀平肇、松田征也、内山りゅう 株式会社ピーシーズ)、『日本産淡水貝類図鑑 2 汽水域を含む淡水貝類』(増田修、内山りゅう 株式会社ピーシーズ)、『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社)、『図譜 人体寄生虫学』(吉田幸雄 南山堂)
  • 主食材として「チリメンカワニナ」を使用したレシピ一覧

関連コンテンツ