2m TL 前後になる。縦へん(上下に平たい)し、口は前にあり、胸鰭、臀鰭がある。胸鰭側端の角度は直角から100度。両噴水孔間隔は両眼の間隔よりも長い。背中線に沿って棘がある。左右の鼻髯間の皮褶はゆるい円を描いて上にくぼむ。[51cm TL・13.2kg]
カスザメの生物写真一覧 (クリックで上に拡大表示)
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珍魚度・珍しさ
★★
少し努力すれば手に入る魚貝の物知り度
★★★★★
知っていたら学者級食べ物としての重要度
★★
地域的、嗜好品的なもの味の評価度
★★★
美味
分類
顎口上綱軟骨魚綱板鰓亜綱サメ区ツノザメ上目カスザメ目カスザメ科カスザメ属外国名
学名
Squatina japonica Bleeker, 1857漢字・学名由来
漢字 糟鮫 Kasuzame
由来・語源 東京での呼び名。価値のないカス(糟、粕)のようなサメの意味。
魚譜(栗本丹州)には「かすぶか」。Bleeker
Pieter Bleeker(ピーター・ブリーカー 1819-1878 オランダ)。医師、魚類学者。『東インドオランダ領の魚類図鑑』(Atlas Ichtyologique des Indes Orientales Netherlandaises 1862-1878)。軍医としてバタビア(現インドネシアジャカルタ)に赴任。インド洋、西太平洋の魚を採取。
栗本丹州
栗本丹洲(くりもと たんしゅう栗本 丹洲(くりもと たんしゅう 宝暦6年/1756年〜天保5年/1834年)。江戸神田紺屋町生まれ。奥医師、本草学者。『魚譜』、『千虫譜』、『異魚図賛』など多くの図譜を残す。地方名・市場名
生息域
海水魚。水深20〜200mの砂地。
北海道西部〜九州の日本海・東シナ海、岩手県〜九州南の太平洋沿岸、瀬戸内海、沖縄諸島。
朝鮮半島、黄海、中国東シナ海沿岸、ピーター大帝湾。生態
ー基本情報
北海道以南に生息する大型のサメだ。ただ、比較的多いのは房総半島・富山湾以南ではないかと思っている。漁業的に対象とするのも西日本である。
利用する地域と利用しない地域に分かれ、比較的よく食べるのは三重県以南である。
今現在、東日本では未利用魚、西日本では食用魚という構図になっている。
基本的に湯引きにして食べるが、サメの中では比較的料理の用途が広い。
大きすぎる魚なので、西日本のように鮮魚店やスーパーで、切り身で売られていると申し分がない。
珍魚度 珍しくはないが漁港で水揚げされてもすぐに解体されてしまう。探さないと手に入らない。水産基本情報
市場での評価/東日本では水揚げもされないことがある。西日本では水揚げされ流通する。比較的安い。
漁法/刺網、定置網
産地/選び方
触って張りのあるもの。粘液が透明で白濁していないもの。味わい
旬は夏?
皮は非常に硬く取りにくい。骨は柔らかく包丁などで簡単に切れるが、非常に硬い皮に当たると止まる。
無理に皮を引くのではなく、皮つきのまま適当に切り取り、軽くゆでると皮が柔らかくなる。
まったくくせのない白身で表面にゼラチン質の膜がある。熱を通しても硬くならず、上質。栄養
ー危険性など
ー食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)
カスザメの料理・レシピ・食べ方/煮る(湯引き、煮つけ)、生食(洗い)、揚げる(フライ、唐揚げ)カスザメの湯引き 今回は尾の部分を使った。鰭などどこでもいいと思う。西日本のフカの湯引きの定番魚でもある。クリックで閉じます
尾や鰭は適当な大きさに切り取る。熱湯の中につけて表面の皮がこそげ取れるようになったら冷水に落とす。冷水の中で皮をこそげとる。水分をよく切り、刺身状に切る。これをもう一度湯がく。水分をきって酢みそなどで食べる。
まったく臭味はなく、あっさりした中にうま味がある。皮下にゼラチン質の層があっておいしい。
カスザメの煮つけ 煮つけも定番料理である。ドチザメ科と違ってゼラチン質に富むので、煮ても硬く締まらない。皮付きのまま適当に切り、ゆでる。表面の皮が取れるようなったら、冷水に落として皮をこそげ取る。食べやすい大きさに切り、湯通しして冷水に落として霜降りに。水分をきって酒・みりん・醤油・水を沸かした中で煮る。くせのない味わいで軟骨周りがとても味わい深い。見事な煮凝りができる。クリックで閉じますカスザメの煮こごり」 体幹部分を皮付きのまま適当に切り、軽くゆでる。冷水に落として皮をこそげ落ちして水分を切る。酒・みりん・醤油・多めの水で煮る。鍋止めして身と煮汁にわける。骨を取り除き、身をほぐして煮汁に戻し、型に入れて冷やす。ゼラチン質が多いので見事に煮凝る。うま味豊かで食べ飽きない。クリックで閉じますカスザメのトマト煮込み 醤油ではなく、うま味豊かなトマトと合わせてもいい。煮込むのではなくトマトの甘味・うま味をプラスすると考えたい。皮付きのまま適当に切り取り、ゆでる。皮がこそげ取れるようになったら冷水に落として皮を取る。適当に切り、水分をきり、にんにく風味をつけた多めの油で玉ねぎなどとソテー。水を加えて柔らかく煮込み、仕上げにつぶしたトマトと合わせて少し煮込む。クリックで閉じますカスザメの洗い 鰭の部分を使う。面倒だが皮を剥き、縦方向にできるだけ薄く切る。生きている、もしくは活け締めはこのまま氷水にさらす。少し時間がたったものは手を入れられない位の湯に通して氷水にいれてさらす。水分をよくきり酢みそ、酢醤油などで食べる。あっさりした中に軟骨のこりこりした食感が心地よい。夏向きの料理である。クリックで閉じます好んで食べる地域・名物料理
ゆでる 西日本では湯引き(地域で名前がかわり、「湯ざらし」、「さめなます」、「ふかゆがき」とも)にして酢みそで食べることが多い。関連コラム(郷土料理)
西のサメ食、フカの湯引き・サメの湯引き
三重県以西の太平洋側、瀬戸内海、九州では基本的にゆでて酢みそで食べる。 鹿児島県志布志ではこれを「せんさら(千皿)」という。 とりたててうまいわけではないが、な・・・ 続きを開く加工品・名産品
ー釣り情報
ー歴史・ことわざ・雑学など
ー参考文献・協力
協力/魚喰民族 石田拓治さん(長崎県長崎市)
『図説有用魚類千種 正続』(田中茂穂・阿部宗明 森北出版 1955年、1957年)、『日本産魚類検索 全種の同定 第三版』(中坊徹次編 東海大学出版会 20130226)