オオメハタ

Scientific Name / Malakichthys griseus Döderlein,1883

オオメハタの形態写真

15cm SL 前後になる。体高があり側扁する。下顎先端に1対の棘がある。尻鰭は長く尻鰭基底は短い。体高は体長の36%以上。
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15cm SL 前後になる。体高があり側扁する。下顎先端に1対の棘がある。尻鰭は長く尻鰭基底は短い。体高は体長の36%以上。尻鰭は長く尻鰭基底は短い。下顎先端に1対の棘がある。
    • 魚貝の物知り度

      ★★★★
      知っていたら達人級
    • 食べ物としての重要度

      ★★
      地域的、嗜好品的なもの
    • 味の評価度

      ★★★★
      非常に美味

    分類

    顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目スズキ亜目Malakichthyidae科オオメハタ属

    外国名

    学名

    Malakichthys griseus Döderlein,1883

    漢字・学名由来

    漢字 大目羽太。
    由来・語源 古くはスズキ科オホメハタ亜科であった。『日本産魚類検索』(岡田彌一郎、松原喜代松 三省堂 初版1938)
    ハタに近い種だと思われていて、目がとても大きいため。
    田中茂穂は標準和名をウミブナとし、古い表記はオホメハタ。
    Döderlein
    ルートヴィヒ・デーデルライン(Ludwig H. P. Döderlein/1839-1936)。ドイツの動物学者。1879/明治12-1881/明治14、東京大学のお雇い教師として日本滞在。神奈川県江ノ島や三崎で水産生物を採取。

    地方名・市場名

    シロムツ[白むつ]
    場所神奈川県・静岡県相模湾 
    ギンムツ[銀むつ]
    場所千葉県東京湾内房 
    ショウワダイ[昭和鯛]
    場所三重県尾鷲 備考他のオオメハタ属とともに。この干物が名物として人気を集めている。 
    デンデン
    場所静岡県沼津 備考オオメハタ属3種とも呼び名はすべて。 
    メバル[目張] バル
    場所鹿児島県 備考鹿児島県では本種をバル(目張)と呼ぶ。これはメバル科ウスメバルが棲息せず、メバルもほとんどいないため本種を目張(目が大きい)という。 
    ウミブナ
    備考別名。(田中茂穂が命名)。 
    オキアマギ タイショウ[大正] タイショウアジ[大正鰺] フナ マイマイ オキフナ
    参考文献より。 

    生息域

    海水魚。水深100〜600メートル。
    新潟県沖、地部県外房〜九州南岸の太平洋沿岸、沖縄舟状海盆。
    済州島、ルソン島南シナ海沿岸、オーストラリア北岸・北西岸。

    生態

    産卵期は秋から冬。

    基本情報

    主に東京湾以南の深場の底曳き網などで漁獲されている。小魚で見た目が地味なのもあって産地でも目立たない存在。流通上でも種までわかる人は非常に少ない。
    主に静岡県、愛知県、三重県、愛知県、鹿児島県などの産地周辺で流通し、希に関東にもやってくる。非常に味のいい魚で、比較的手頃な値段なのでもっと食べられてもいい。

    水産基本情報

    市場での評価 関東の市場には希に入荷してくる。オオメハタ属3種(オオメハタ、ワキヤハタ、ナガオオメ)は区別しないで取り扱われる。値段はやや高め。
    漁法 底曳き網、釣り
    産地 鹿児島県、三重県、静岡県、愛知県

    選び方

    目が澄んでいる、触って硬いもの。鰓が鮮紅色のもの。

    味わい

    旬は秋〜春。
    鱗は柔らかく取りやすい。皮は薄くやや硬い。骨は柔らかい。
    血合いの弱い白身。熱を通しても硬くならない。

    栄養

    危険性など

    食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)

    オオメハタの料理法・レシピ・食べ方/生食(刺身、セビチェ)、焼く(塩焼き)、煮る(塩焼き、干もの)、汁(潮汁、みそ汁)、揚げる(フライ、唐揚げ、天ぷら)

    オオメハタのあぶり(焼霜造り) 非常に上品な味わいで、嫌みがないものの、身の味にあまり特徴がない。これを皮を生かすことでインパクトのある味にする。三枚に下ろして腹骨・血合い骨を取る。皮目をあぶり、急速冷凍庫に少し入れていく。もしくは氷水に落として水分をよくきる。大きめなら皮目が落ち着いてから適当に切る。炙ることで皮下の脂が一度溶けて甘味を持つ。非常に味わい深く、美味。

    オオメハタの刺身オオメハタの刺身 水洗いして三枚に下ろして皮を引く。これを刺身状に切ったもの。上品な白身ながら脂が混在していて甘味が強い。舌触りもよくて非常に美味。わさびもいいがしょうが、ねぎなどで食べてもおいしい。

    オオメハタの塩焼きオオメハタの塩焼き 水洗いして振り塩をしてビニール袋などに包み1時間以上置く。これをじっくりと焼き上げる。皮目に独特の香りがあり、これが実に食欲をそそる。上質の白身で適度に繊維質で甘味があって美味。食べ飽きない味だ。
    オオメハタの開き干し 小型の魚なので、たくさん手に入れたら干物にして置くといい。ここでは開いて干したが、丸干しにしてもいい。立て塩にして水分をよくきり、半日ほど干し上げたもの。手づかみで食べて欲しい。
    オオメハタの煮つけオオメハタの煮つけ 寒い時季に揚がった大振りのオオメハタを水洗いする。湯通しして、冷水に落として鱗やぬめりを取る。これを酒、砂糖、しょうゆ、水で煮る。身は適度に繊維質で身離れがいい。煮ても硬く締まらず、魚自体の甘味があっておいしい。酒・塩、酒・みりん・しょうゆなど味つけはお好みで。
    オオメハタのフライオオメハタのフライ 三枚に下ろして、皮を引いてもいいし、そのままでもいい。腹骨と血合い骨を抜き、塩コショウして溶き卵をくぐらせ、パン粉をまぶして揚げる。パン粉の香ばしさのなかにとても汁気の多い身が豊潤な風味を持つ。ハンバーガーなどにすると楽しいかも。
    オオメハタの唐揚げオオメハタの唐揚げ 小振りのオオメハタを使って作ったが大振りのものは観音開きにしたり、適宜に切り揚げるといい。皮目の香りがとても好ましい。骨まで軟らかく揚がるので、余すところなく食べることができる。
    オオメハタの天ぷらオオメハタの天ぷら 底曳き網のある静岡県沼津市などでは、小振りのものを天ぷらにしている料理店がある。皮目に香りがあって、天種としても非常に優秀なのだ。キスのように開いて、やや高めの温度で短時間にさくっと揚げる。
    オオメハタのみそ汁 刺身などにして残ったアラや頭部を集めて置く。湯通しして冷水に落としてみそを溶く。酒を加えてもいいし、しょうがをふってもいい。またここでは白ねぎを使ったがニラとの相性がいい。実に味わい深く、しかも嫌みがない。ご飯に合う。

    好んで食べる地域・名物料理

    静岡県沼津市。
    愛知県三河地方
    三重県尾鷲市。

    加工品・名産品

    主に干もの原料になる。
    昭和鯛丸干し昭和鯛丸干し 内臓が小さく、きれいな魚なので鱗だけ取り、塩をして丸干しにできる。開き干しよりもうま味のロスが少なく、非常に美味。酒の肴として実にいい。[神保商店 三重県尾鷲市]
    オオメハタのみりん干しみりん干し 底曳き網の基地ならではの加工品。開いて甘い漬け地に浸して、干し上げたもの。甘味がほどよくていい味だ。ご飯にもよく合う。[マルイ鮮魚店 愛知県蒲郡市]

    釣り情報

    相模湾では100メートルから200メートルを狙う中深場釣りで釣れる。胴つきもしくは天秤仕掛けで餌はサバの短冊でもオキアミでもよい。近年「白ムツ釣り」というのが本種のこと。

    歴史・ことわざ・雑学など

    参考文献・協力

    協力/田中水産(鹿児島県鹿児島市 ■http://tanakasuisan-kagoshima.com/)
    『日本産魚類検索 全種の同定 第三版』(中坊徹次編 東海大学出版会)、『日本産魚名大辞典』(日本魚類学会編 三省堂)
  • 主食材として「オオメハタ」を使用したレシピ一覧

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