
体長60センチ前後になる。眼が左右につき、出ていて腹部からでも見える。鼻孔が筒状に突出している。全体に黒いが、黄色みを帯びる不定形の斑紋が散らばることも。鯰にはアルビノが出現することがあるが、本種の出現率がもっとも高い。また画像は体長50センチ。
イワトコナマズの生物写真一覧 (クリックで上に拡大表示)
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魚貝の物知り度 |
食べ物としての重要度 |
味の評価度 |
★★★★★ 知っていたら学者級 |
★★ 地域的、嗜好品的なもの |
★★★ 美味 |
分類 |
顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱ニシン・骨鰾下区骨鰾上目骨鰾系ナマズ目ナマズ科ナマズ属
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外国名 |
英名/Catfish
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学名 |
Silurus lithophilus (Tomoda,1961)
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漢字・学名由来 |
漢字 岩床鯰
由来・語源 友田淑郎が『湖魚考』(文化年代 小林義兄)からとったもの。岩場に多く、岩床(岩場)にすむナマズの意味。 |
地方名・市場名 [?] |
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生息域 |
淡水魚。琵琶湖、瀬田川、余呉湖。
岩礁地帯。 |
生態 |
岩の多い場所をすみかとして小魚やエビ、昆虫などをエサとしている。
産卵期は梅雨(6月中旬から下旬)にかけて水深3〜4メートルの石の多いところで産卵。 |
基本情報 |
琵琶湖、余呉湖特産のナマズ。
ナマズ3種のなかで、いちばん味がよいことは古くから知られていたが、獲れる量、流通する機会が非常に少ない。食用とする地域も琵琶湖周辺と岐阜県などのみ。
淡水魚なのにクセがなく、歩留まりがいいので産地などで人気。 |
水産基本情報 |
市場での評価 琵琶湖周辺のみで流通する。やや高値
漁法 刺し網、釣り
産地 琵琶湖 |
選び方 |
原則的に生きているもの。活け締めにして時間のたっていないもの。 |
味わい |
旬は梅雨時期と秋
頭部が小さく歩留まりがいい。鱗はなく大量の粘液に覆われている。これをこそげ取ってから料理する。
魚類中もっとも硬い骨をしていると思う。
脂は黄色く腹の縁や背鰭近くにたまる。やや赤みがかった上質の白身で熱を通しても硬く締まらない。生で食べてもあまりうま味を感じない。アラ、身、内臓などからいいだしが出る。
料理の方向性
上質の白身ではあるが、身自体に強いうま味があるわけではない。むしろ皮に独特の風味がある。汁ものなどにすると皮、身とも味がよい。揚げ物は美味。単に焼くとやや強く締まり硬くなる。むしろ蒲焼きにして美味。  身が少し赤みがかっている。 |
栄養 |
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寄生虫 |
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食べ方・料理法・作り方 |
調理法
煮る(じゅんじゅん〈すき焼き〉)、汁(みそ汁、醤油味の汁)、揚げる(天ぷら、フライ、唐揚げ)、焼く(蒲焼き)、刺身、唐揚げ じゅんじゅん(すき焼き)
甘辛い醤油、みりん、酒などで味つけした地で煮ながら食べる。クセのない味わいで皮にこくがある。  イワトコナマズの煮つけ
煮つけ 筒切りにして酒としょうゆ、砂糖で煮たもの。クセのない白身でイヤミがなく、皮に味がある。 みそ汁 あらを昆布だしで煮て、八丁味噌を溶いたもの。みそは好みで。あらからは濃厚なうま味がでてとてもうまい。 フライ アメリカ南部で食べられているのがナマズ目の魚のフライ。当然、本種のフライも絶品。上質な白身のよさが楽しめる。  イワトコナマズの天ぷら
天ぷら 江戸前のメゴチ(ネズミゴチ)のような個性に欠けるが、ほどよい柔らかさ、クセのなさでうまい天ぷらになる。  イワトコナマズの蒲焼き
蒲焼き 素焼きにすると皮に脂があってじゅうじゅうーと香ばしく焼ける。ここにみりん1、醤油1のタレをかけながら焼くと非常にうまい。  イワトコナマズの刺身
刺身 クセのない上品な味だが、甘みもうま味にも欠ける。醤油よりも辛子酢みその方が合う。 |
好んで食べる地域・名物料理 |
琵琶湖周辺。 |
加工品・名産品 |
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釣り情報 |
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歴史・ことわざ・雑学など |
琵琶湖の漁師さんたちは、この黄色いナマズが獲れると、竹生島の弁天様のお使いとしてすぐ琵琶湖に逃がしている。 (『湖国琵琶湖の魚たち』) |
参考文献・協力 |
『湖国琵琶湖の魚たち』(滋賀県立琵琶湖文化館 第一法規)、『日本産魚類検索 全種の同定 第二版』(中坊徹次編 東海大学出版会)、『日本の淡水魚』(川那部浩哉、水野信彦 編・監修 山と渓谷社)、『湖魚と近江のくらし』(滋賀の食事文化研究会 サンライズ出版 2003) |
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