魚の呼び名学04 シマイサキ「カレススキ」は枯れ薄?
富山県の呼び名はユニークだ
![]()
シマイサキは本州以南、九州までの川の河口域や漁港周り、浅い岩礁域で波の穏やかなところにいる。
墨流しのような地味な文様で体長25㎝前後までがほとんどの小魚である。
定置網などで揚がる食用魚だが、あまり歓迎されず、流通するにしても水揚げ漁港周辺くらいといった魚だ。
流通する範囲が狭く、自分でとって自家消費することの多い魚なので、非常に呼び名が多い。
鰾を使って鳴くので、その鳴き声にちなんだり、墨で書いたような文様なのでそれにちなむものが多い。
さて、富山県富山湾、生地では「カレススキ」、滑川で「カワススキ」、魚津・氷見・東岩瀬で「カワススギ」である。
1941年から翌1942年の『魚名集覧』(渋沢敬三)によるものなので、魚名の採集は大正時代から昭和初期にかけてのものだ。
音からして共通の呼び名があって、それが変化したと考えられる。
「カレススキ」だけをみると、「枯れ薄(ススキ)」で体の文様を見て、茫洋とした大地に続くススキの原を思わせるためか? と思った。
「カワススキ」は「川スズキ」ではないか、と考えたがスズキの方がむしろ川を好む気がする。それでは「皮スズキ」で、スズキよりも小さいのに皮が硬いためか、と思ったが違うだろう。
「カワススギ」は川で「すすぐ」で「川で洗濯をしていると、よく見かけるため」、もしくは煤で汚れているように見えるので、「すすぎ(洗い)」たいのか、と考えた。
最初は、『船頭小唄』にもある、「カレススキ」がいちばん詩情溢れる名なのでこれが基本的呼び名だといいな、と思った。
ただ、本種の習性などを考えると、魚津・氷見・東岩瀬と地域的にも広い「カワススギ」が基本に違いないと考えるようになった。
本種は港や川の河口域で波の静かなとき、まるで鏡のような水面の下で、ほとんど動かず止まっているのをよく見かける。
川(河口域)は生活の場所で洗濯をしたり、農作業の後に泥を落としたりするところだ。
そんなところにいる魚という意味ではないかと考え至る。
■呼び名目次へ
・楽しい魚の呼び名・目次
