アジ祭真最中のマアジの刺身

室温で溶け始めるマアジの刺身


目の前で相模湾二宮沖の刺身の表面がうるうると溶けていく。
舌の上でまったりと甘味を放って、それでいて背の青い魚の味が強く感じられる。
夏のマアジの味だな、と思う。
水温が低いとエサの食いが悪いのか、春の初めはマアジの質にばらつきが出るが、5月ともなるとハズレなしになる。
1尾丸ごと食べても、もの足りなくなる。
二宮定置で分けてもらった3尾が全部消えてしまいそうで恐い。

火を受けて一度溶けてまた固まる


もちろん塩焼き用に半身だけ残して、深夜酒に焼き上げる。
火がまわると半身の表面が溶けた溶岩のように吹き上がってくる。
見ていないと燃えてしまう。
熱いうちに食べるとおいしいけど、味がない。
冷めたら別種の味がするが、マアジ本来の青魚の濃厚な味がする。

ご飯の友として、酒の妻として一日中我が家も「アジ祭」だ。

この時季、定置網が大騒動なのである


マアジは北海道から九州まで、どこにでもいるが、微妙に旬が異なる。
神奈川県小田原市、小田原魚市場、二宮定置だけではなく、相模湾中が脂の乗ったマアジだらけであった。
4月、5月は毎年こうだ。
これを「アジ祭」という。

上から見ると左右に分厚い旬のマアジ


生殖巣が膨らんでいるのもあり、膨らんでいないものもある。
これから8月いっぱいまで産卵個体が揚がるのは産卵時期が長く、同じさが言わんでもずれがあるからだ。
4、5月に産卵したものは8月には完全に回復して、荒食いをして脂をため込むのだから「アジ祭」は長い。

水洗いして二枚に下ろして、半身は皮を引いて刺身にする。
骨つきの半身は振り塩をしておく。
これを随時焼き上げる。


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