アカガイ産地食べ比べ2 山口県産アカガイ

山口県産アカガイは貝殻を見ただけで、いいものだ、と思う


アカガイの産地別比較を整理しているところです。以後改訂を繰り返していきます。
アカガイ産地食べ比べ 番外編 中国産アカガイの刺身
アカガイ産地食べ比べ1 東京湾富津産アカガイ
アカガイ産地食べ比べ2 山口県産アカガイ本ページ
アカガイ産地食べ比べ3 徳島県産アカガイ
アカガイ産地食べ比べ4 新潟県岩船産アカガイ
アカガイ産地食べ比べ5 播磨灘産アカガイ

アカガイはフネガイ科リュウキュウサルボウ属の二枚貝だ。
貝殻は真っ白だけど褐色の殻皮(貝殻を覆う膜)で覆われ、黒い毛が生えているので、とても薄汚れて見える。
北海道南部から九州、ロシア沿海州、中国黄海・渤海、東シナ海までの内湾の泥っぽい浅場にいる。

江戸前握りのすしダネとしてはもっとも重要なものだ。
アカガイがないと、のれんが出せないというすし屋も少なくはない。
昔、『すきやばし次郎 旬を握る』(単行本は1997年)という本に閖上アカガイを絶賛する文章が載っていた。
当時、「閖上」はワープロソフトで変換できなかった、それほど目立たない地名だった。
この書籍以後、「アカガイは閖上」というのが一般にも一人歩きし始める。

なぜ閖上なのか? 築地場内で珍重されたのは東京湾産だったが、これが宮城県産に取って代わったのである。
場内の仲卸の経木の座布団の上には圧倒的に宮城県産が多く、「閖上」の文字があっちこっちにあった。
宮城県産は、中国産ほどではないが、入荷が安定していた。
一定の大きさで例えば1かんの握りにちょうどいいものが揃っている。
貝殻が薄めで鮮度もいいし、身がふっくらしているし香りもいいので、高いのは当たり前だった。

これが激変したのは2011年3月の東日本大震災である。
悲しいことに閖上が被災し、供給がとまったのだ。
国内においてもっとも需要圧のある東京で、もっとも需要の高い春に閖上からアカガイが来ないのですし屋は大打撃を受ける。
そこで、国内の産地の見直しが始まり、瀬戸内海周辺や大分県からアカガイがやってくるようになる。

写真は山口県宇部市産である。
山口県の瀬戸内海側は宇部市だけではなく、アカガイの生息しやすい河川の流れ込む入り江、泥場が多い。
ちなみに築地の時代はアカガイはアサリの4倍から5倍くらいの値段だった。
これは今も変わらない。
山口県産アカガイの値段は今、アサリの5倍以上の値段をつけるので、復活した宮城県閖上と変わらない、ということになる。
貝殻の特徴はころんとしていて、殻が薄いことだ。

最上級のアカガイの味は食べないとわからない


アカガイの足(身)や外套膜(ひも)の味を表現するのは難しいが、とにかくふっくらして赤味が強い。
食感が心地よい。
鼻に抜ける香りがよく、甘味が豊かである。
問題は高額なので、高級すし屋で山口県産アカガイを食べるのは、まさに清水の舞台から飛び降りるようなものだ、ということ。
豊洲市場で探してもいいが、宇部市で水揚げを見て買いたいものだと、写真を見ていても思う。


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