小田原旬のカゴカキダイ、刺身か? 焼霜か?
年寄りのボクは屋上屋を架さない刺身派

焼霜造り(焼き切り)から食べると、刺身の印象が弱くなるので、最初は刺身。
今回はわさびにしたが、カゴカキダイのような皮に強いうま味があるものには柚子胡椒が合う。
さて、最近、刺身ばかり食べているのでお馴染みの味である。
カゴカキダイはいい意味で騒がしい味だ。
脂のとろける感じ、身に豊かな味があり、ほんの少し感じるか感じないかの、微かな磯臭みがある。
ちなみにこの磯臭みがないとカゴカキダイである意味がない。
この多様なおいしさをしみじみ楽しめるのが刺身だ。
若いKaiくんは焼霜造り派

焼霜造りは非常に強い味である。
刺身にしても重量級においしい、なのに、それに同じくらいのうまさのウエイトを足したような味といってもいいだろう。
一切れ食べただけで、脳の一部をカゴカキダイのおいしさに占拠されて、場合によっては数日、カゴカキが消えない可能性がある。
なによりも皮の香ばしさの下に一度溶けて、再度固体化しようとしている脂が、口溶け感ではなく、いきなり脂の味なのである。
よけいわからなくなりそうだけど、刺身はブラームスの弦楽四重奏で、焼霜造りはベートーベンの第九だろう。
どっちがいいかではなく、年齢による好みの変化と思い至る。
目利き、Kaiくんが選んだ形もりもりのカゴカキダイ

2024年12月16日の神奈川県小田原市、小田原魚市場、カゴカキダイが多かった。二宮定置でもかなりまとまった水揚げがあり、少し分けていただく。
ここでKaiくんとカゴカキ談義。
刺身か焼霜(焼霜造りで、焼き切りとも)か?
ボクは最近、圧倒的に刺身が好き。
Kaiくんの焼霜は悪女の深情け(半村良読み過ぎなのだ)的な味で、魔味といってもいいし、記憶に残りすぎる味でもある。
せっかくなので久しぶりに両方作ってみる。
刺身のときは鱗を取らないまま水洗いしてもいい。
今回は焼霜を作るので鱗を取る。
頭部を斜めに落として三枚に下ろす。
片方は皮を引いて刺身にする。
もう一方は皮あぶって氷水に落として刺身状に切る。