安かった小ヘダイでつけ焼き
つけ焼きは昔ながらの料理法だが、ちょっとだけ非日常的
「ぐじ(アカアマダイ)」などを焼くとき、若狭地(酒・醤油少々)を塗りながら仕上げるというものを「若狭焼き」という。酒の代わりにみりんを使ったものを当方では「つけ焼き」としている。この地をつけながら焼き上げるというのは、調味料はわからないが、江戸時代初めの茶会記などにフナを使った「色つけ」として出てくる。
当たり前だが江戸時代になって突然、出て来た言葉ではなく遙か古くから使われてきたものだと思っている。この料理名や調味料の変遷を考えるのは非常に面白い。
この「つけ焼き」の地(みりん・醤油同割り)は軽く火を入れると味が安定するので、ときどき作って保存している。
塩焼きや煮つけではなく「つけ焼き」にすると、日々のマンネリ感から脱却できる気がするのだけど、気のせい、かな?
ヘダイの「つけ焼き」は、安定的においしい塩焼以上に、非日常的なよさがある。
1尾丸ごと時間をかけて食べても食べ飽きない。
ヘダイの上品でいながら、味わい深いところに調味料が加わると、味に膨らみが生まれる。
時間がたち冷めるとぐっと味が入るので、半身を深夜にウイスキーハイボールの友としたが、これもグッドだった。
スーパーや魚屋って便利だ、利用しない手はない
東京都多摩地区の住宅地のスーパー3軒をときどき回っている。最近多いのがヘダイである。関東のスーパーでは珍しいものではなくなっているはずなのに、認知度低く、安い。たぶん赤いタイではなく銀黒色なので消費者の手が伸びないのだろう。
今回手に取ったのは体長21cm・226g(内臓抜き)なので若い個体である。ヘダイは比較的小型でも味がいい、だから手が伸びる。
安くておいしいものを手に入れるには、知識を増やすことと近所のスーパーをあなどらないことが重要なのだ。
帰宅したらパックから出し、ペーパータオルにくるんで水分を取る。
軽く振り塩をする。
そのまま寝かせておく。
焼く前に表面に出て来た水分を拭き取る。
九分通り焼き上がったら様子を見て、みりん・濃口醤油を合わせたものを塗りながら仕上げる。
今回は焼き上がりに、へべすを振った。