キンメダイは肝が肝心、肝たたき

見た目は単調だけど、食べたら複雑な味


切りつけた身の表面に見える光に、産卵期なのに脂がのっているな、と箸を伸ばす。
その身に均等にからみつく肝、実はこっちの方が主役かも。
キンメダイの身(筋肉)に脂はあるものの強いうま味はない。
要するに脂の口溶け感が甘いと感じさせ、うまいと錯覚させるのだろうと思っている。
複雑なアミノ酸が甘いと思わせるのと同様に、脂にもそのような効果があるのだ。
たたいた肝には身以上に複雑な味があり、ここにも別種の甘味がある。
いろいろ書いてみたが、要するに無類のおいしさがキンメダイの肝たたきにはある、ということだ。
今回の個体はやや小振りだったので、半身で造っても小鉢にこんもりでしかない。
別に大量に食べたいというわけではないが、食べ終わると切なくなる味だ。
岐阜県八百津で買った「玉柏 笹にごり 夏」は比較的軽い酒だが、とても似合う。

美しすぎてきれいに撮れない


今回のものは、八王子綜合卸売センター、細谷紙店の細谷さんが伊豆下田沖で釣り上げたキンメダイである。
目的は細部の撮影なので、いちばん小さいの(体長24cm・419g)を持ち帰ってきた。
産卵期前後の味が知りたかったのもある。
それにしてもキンメダイのパールピンクがなんとも魅力的だが、この色合いがどうしても上手に撮れない。
水洗いして三枚に下ろす。
腹骨・血合い骨を取る。
これをやや細かく切る。
肝は湯通しして氷水に落とす(鮮度がいいので完全な生でもよさそうだが、このあたりは好みで)。
肝をたたいて身と和える。
今回はわさび醤油で。


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