2023年最後のアジは京都産

師走の京都産は体高があり、さわるとヌメリがある

京都府産マアジ

水産生物の食文化を調べていると1年の区切りがなくなるので、正月なんていっていられない。それでも、初荷の5日までは流通は止まり、新しい魚との出合いも止まる。とすると2023年最後のマアジは京都府産のマアジということになる。
非情に膨大な種をようすアジ科の中でももっとも一般的な魚で、北海道から九州までの沿岸域にいたって普通に見られる魚だ。稚魚期など手網ですくえるほど浅いところで見られ、陸からも簡単に釣れるので、海の魚でこれほど馴染みのある魚はいないだろう。漁獲量的にも優等生で流通上でももっとも手堅い存在となっている。
2023年の最初は兵庫県淡路島、鹿児島県のものもあり、大産地長崎県、島根県もあり、宮城県、岩手県などで1年を通して日本各地のマアジが楽しめた。
〆である京都府産は師走なのに脂が豊かで、仕立て(出荷のやりかた)がていねいで鮮度も申し分がなかった。
八王子総合卸売協同組合・センターも来年までお預けなので、細々と買い求めたが、マアジは舵丸水産で売られていたものだ。近年気になるのは並アジが少なくなったことだ。非常に上質のものがたっぷりとやってきたが、値段は高め安定だった。
本来、マアジは並アジという安い価格帯が土台のようにあってこそだけど、一般的な魚屋などはやりにくい1年だったのではないかと思っている。

一人酒なので盛り合わせる

マアジ焼霜造り,刺身

さて、2尾を刺身と焼霜造りにする。
三枚に下ろして腹骨・血合い骨を取り、半分は皮目をあぶって氷水に落として、水分をていねいにとる。
かたや刺身にして、盛り合わせてみた。
暮れはズームとやらで、それなりにやることがあり、新年早々、あたらしいことを始めるつもりなので、ほっと一息つけるのは深夜のみ。
口に放り込むと思った以上に脂が甘い。とろっとした口溶け感もある。
刺身の方が素直にマアジの味が楽しめるけど、単調ではある。
非情においしいマアジを食らいながら、来年もおいしいマアジが食いたいなどと思う。
禁酒中なのに濁り酒5勺以上すごす。


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