タキベラの味を探る、清蒸は申し分なし

面の皮の厚い魚って蒸してこそかもと思う

タキベラの清蒸

八王子総合卸売協同組合、舵丸水産、クマゴロウが銭州で見事夫婦者のタキベラを釣り上げてきた、妻は1㎏ほど、夫は2㎏である。考えてみたら夫婦仲良く一荷で来たのだろうと勝手に合点して、実際にそうだったのかどうか聞き忘れた。
鮮度抜群だし、色鮮やかだし、ここ数年手に入れたタキベラの中でも最高峰個体である。
これをもとに改訂を進めているが、完全に改訂し終わるのはうーんと先の話になる。ということで改訂途中でウマスギた料理をとりあげていくつもりだ。
さて、大型なので頭もでかい。しかも面の皮が厚いとなると、作る料理はアレである。熱帯域では大型ハタ類の乱獲に繋がったくらいにうまい料理で、しかもハタに限らず、どんな魚を使ってもこれ以上の料理はないのかも、という料理である。
それを蒸し魚(清蒸)という。国内ではわからないが中国でも台湾でも熱帯の南太平洋でも、中華料理店の海鮮部門のメニューのトップに載っている。
こんな料理、一般家庭で作れるはずがないと思っていたのは、1980年くらいまでだ。開高健の釣り本に作り方がでていて、そのまま作ったらいとも簡単にできた。以後、少々、タレの作り方などを変えたが、考え方はそのままである。
水洗いして頭部にある咽頭骨(喉にある硬い骨)をまず最初に掘り出し梨子割りにする。
ベラ科の頭部には皮膚に埋もれた鱗があるので熱湯をかけて浮き上がらせ、鱗を取る。
これを15分ほど強火で蒸す。
蒸し上がったらタレ(醤油・魚醬・紹興酒・砂糖・八角を一煮立ちさせたもの)をかけ、香りのある野菜を乗せて熱した油(本当はピーナッツオイルがいいが、高いので普通の太白ごま油)をかけ回す。
今回は野菜に辛い唐辛子を加えている。このあたりはお好みで。
油をじゃわじゃわとかけた時点で涎が口中にたまる。

甘辛くうま味の強いタレに魚のうま味がにじみ出る

タキベラの蒸魚

厚みのある皮が、蒸し上げるとゼラチンのようにぷるんとする。身はねっとりと練り絹のような舌触りで甘味がある。
これで何ばいでも飯が食えるといった味である。
不思議なことにアルコールよりも圧倒的に飯向きの料理である。
飯と合わせるとただでさえウマスギなのに、もっともっとウマスギになる。


関連コンテンツ

サイト内検索

その他コンテンツ

ぼうずコンニャク本

ぼうずコンニャクの日本の高級魚事典
魚通、釣り人、魚を扱うプロの為の初めての「高級魚」の本。
美味しいマイナー魚介図鑑
製作期間5年を超す渾身作!
美味しいマイナー魚図鑑ミニ
[美味しいマイナー魚介図鑑]の文庫版が登場
すし図鑑
バッグに入るハンディサイズ本。320貫掲載。Kindle版も。
すし図鑑ミニ ~プロもビックリ!!~
すし図鑑が文庫本サイズになりました。Kindle版も。
全国47都道府県 うますぎゴーゴー!
ぼうずコンニャク新境地!? グルメエッセイ也。
からだにおいしい魚の便利帳
発行部数20万部突破のベストセラー。
イラスト図解 寿司ネタ1年生
イラストとマンガを交えて展開する見た目にも楽しい一冊。
地域食材大百科〈第5巻〉魚介類、海藻
魚介類、海藻460品目を収録。