9月、石巻のゴマサバ1尾食べ尽くす
石巻産1キロ近い大型のゴマサバ
ゴマサバ
9月11日、八王子総合卸売協同組合、マル幸で宮城県石巻産のゴマサバを買った。全長44cm・937gだから大型である。触っただけで脂ののりがわかるといったもので、もともと断面の丸いゴマサバが余計に丸く感じる、そんな上物だった。
脂ののったゴマサバのしめさばは非常にうまい
買って来た当日は「しめさば」と塩サバを作り、あらで「船場汁」を作る。
「しめさば」は説明すべきもないが、帰宅後すぐに三枚に下ろす、片身にべたっと塩をまぶし、1時間ほど寝かせ、酢で洗って甘酢に漬け込んだものだ。甘酢ではなく生酢でもいい。
塩サバは強めの振り塩をして密閉して保存したもので、随時焼いて食べる。
石巻のゴマサバは久しぶりに出合う、上々のもので、しめさばなど近年にないおいしさだった。
ゴマサバ作る船場汁でご飯を食べる
ゴマサバの船場汁
「船場汁」というのは大阪市中区の商業地、船場で食べられていた郷土料理である。船場は非常に広い地域でとらえどころがないが、代表的な地である道修町などでは番頭はんと丁稚どんなどが競って食べる、汁でもあるが、主菜でもあるといったもの。
鮮魚・塩サバと大根を適当に切り、塩仕立ての汁だが、実に合理的かつ端的にうまい。
本来は日本海や熊野灘で揚がったマサバで作っていたのを、今回はゴマサバで作った。
これをおかずに食べる丼飯はやたらにおいしい。
うまいんだか、うまくないんだかわからない味がいいのだ
ゴマサバのしめさば焼き
さてあれから半月がたち、真夜中に酒の肴を探していて、見つけ出したのが冷凍保存して置いたゴマサバのしめさばの残りだ。これを解凍して焼いて、宮城県大崎市、新澤酒造店「あたごのまつ」という酒のともとした。
「しめさば」を焼くというのは、「しめさば」など一度も食べたことがなかった1974年が初めてで、珍しいことなのかとか、おいしいものなのか? などいろいろ考えて食べた。江戸川区小岩の昼は定食、夜は飲み屋さんという店でのいただきものだ。
ちなみに「しめさば」を焼いて食べるというのは貧乏人のやることだ、と言った築地の年寄りがいあるが、「わざわざ焼くためにサバを締めるワシなんぞ根っからの貧乏人だ」という落ちを言いたいから、の枕のようなものだ。
この1974年以来、どこがうまいんだかわからないけど、魚屋で「しめさば」の残りが売られているか、隠してあるなどすると必ず買うかもらって帰ってでも食べる。知り合いのすし屋など「あるよ」で通じるくらいなので、やはり好きなんだろうと思う。
今回のゴマサバの「しめさば」を焼いたものも、食っているときはそんなに感動しないのだけど、皿から消えると淋しくなる。
ちなみに「あたごのまつ 鮮烈辛口」という普通酒が、やたらにうまいと思ったのも酒の肴がうまかったせいだと思っている。
「しめさば」を焼いて、ゴマサバ1尾食べ尽くしたことになる。