尾岱沼のしまえび天丼

尾岱沼という大きな汽水湾


標準和名、ホッカイエビと言っても国内ではほぼ通じない。たぶん東京豊洲市場で言ってもだれ一人知らないと思う。
流通上では「北海シマエビ(ホッカイシマエビ)」である。産地では単に「シマエビ」と呼ばれているが、関東などでの市場で「シマエビ」は別(モロトゲアカエビ)なので、わざわざ「北海」がつく。
さて、羅臼の旅のついでに尾岱沼を撮影しに南下した。下見というか一度は漁を見てみたいと思っていだけで、とりたてて目的があるわけではない。ホッカイエビもそうだが、混獲物を調べてみたいと思っているが、これはまだ先のことになる。
南下するだけで面白かった。広大なそば畑があり、野に咲く名前がわからない草花がとても面白い。
国道から、岸辺に下りて水域を撮影してから、尾岱沼漁港を目指す。尾岱沼漁港に人影はなく、直売所は漁がなかったこともあって見るべきものはなかった。むしろ直売所隣で売っていた脱皮した個体をゆでたもの、活けが珍しかった。

これなら期待して行っても失望しないと思う


ここで昼ご飯を食べる場所を探す。
地元の方に聞いてたどりついたのが『白帆』という食堂である。道路工事のオッチャンに聞いた限りだが、尾岱沼漁港ののそばにある、食堂もしくは昼飯が食べられるところは、ここのみだそうである。
席に座って品書きを見ると、握りずしにトンカツにラーメンなど、典型的な食堂なのは一目瞭然。尾岱沼らしいというと「しまえび天丼」、もしくは「あさり汁」だが、天丼に「あさり汁」がついているというのでお願いする。
ぜんぜん期待しないで待っていると、見た目からしてうまそうな丼がやってきた。
「シマエビ」が丼にそびえているのである。ホッカイエビのタラバエビ科の味の特徴は殻が軟らかく、身(筋肉)に水分が多いことである。ちなみにタラバエビ科の甘エビ(ホッコクアカエビ)の甘さはいくつかの、呈味成分ではないアミノ酸と、粘性のアミノ酸が合体して甘いと感じるもの。天ぷらにして大丈夫なのか? と思ってかぶりついたら大丈夫だった。
衣がやけに大きいのは残念だったが、身の存在感もあり、タラバエビ科の甘さも感じられる。意外に名品ではないかなんて、大いに満足した。
ついでに食べたアサリ汁は北海道ならでは大振りで、これまた結構な味だ。
デブも歩けばうまい食堂にあたる、のだ。


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