ウマスギ! 狼魚のステーキ
昔は珍魚だった
2000年前後、オオカミウオを手に入れるのは至極大変だった。なんとか手に入れたいと苦しんでいたときに、助けてくれたのが、宮崎学さんである。2002年に標津町の金田さんを紹介して頂き、やってきた個体はなんと1mもあって宅急便ぎりぎりだった。あまりのうれしさに学さんが神様に思えたものである。もちろん今もです。
さて2010年以前、オオカミウオの扱いは悪かった。じょじょに改善されて2011年に来た岩手県産は活け締めで、刺身にして食べても無類のうまさだった。
そして2023年、関東の市場を歩いていても、あくまでもプロの間ではあるがオオカミウオに、だれも珍しさを感じなくなっている。入荷量は少ないものの、ただの食用魚でしかない。またすべて活け締めされていて、刺身で食べられるし、どのような料理に使っても上々である。
今回、オオカミウオをいろいろ料理して食べて、うまいなと思った料理を紹介していく。
見た目は不気味だけど
まずは兜煮から。
鱗はないので徹底的にぬめりを金ブラシでとり、下ろす。頭部は梨子割りにする。
湯通しして冷水に落とし、ここでも徹底的にぬめりをこそげ落とす。
水分をよくきり、酒・砂糖・醤油・水・生姜で煮上げる。ことことをじっくり煮るといい。
出来上がった兜煮はコロイド状の皮に覆われているようだった。このコロイドは匙ですくえるくらいなのでゼリー状と言った方がいいかも知れない。この皮が名状しがたいうまさなのである。念のために白飯にのせて食べてみて、その危険な魅力にはまってしまいそうで恐かった。
骨周りの身の甘さだってただごとではない。
さて、初手から感動しまくっていても致し方なし。八王子綜合卸売センター、福泉で買い求めた北海道産4.3kg、オオカミウオ食い食いの旅は続く。