サンマの基本1

サンマの基本を整理して公開する


サンマの基本を整理して公開するが、以下の章をもうける。
1、サンマとはどのような魚か?
2、1945年以前のサンマの食文化
3、1945年以降のサンマの食文化とサンマの認知
4、2000年前後に大きく変貌するサンマの食文化
5、サンマの好不漁の波
6、サンマの値段の乱高下

サンマとはどのような魚か?

サンマ

サンマはダツ目ダツ科サンマ亜科サンマ属の魚である。
最大の特徴は口は長く伸びないがくちばし状であること。
第二背鰭、臀鰭の後ろに小さな離鰭と呼ばれる鰭があること。
胸鰭は頭近くにあり、腹鰭は遙か後方に離れていることだ。

海の比較的浅い層を国内では北海道から九州南岸、屋久島までの日本海、太平洋、東シナ海の全海域を回遊している。
国内海域ではどこにでもいるとてもありふれた魚であることがわかる。
北太平洋の朝鮮半島東岸、オホーツク海北部、北太平洋、メキシコのバハカリフォルニアまでと広い生息域を持つ。
ダツ科サンマ亜科サンマの仲間は世界中にいるが種類はとても少ない。整理すると以下のようになる。
サンマの仲間(属)は2種だが、もう1種は国内にはいない。
Cololabis saira (Brevoort, 1856) /サンマ
Cololabis adocetus Böhlke, 1951/Saury/東部太平洋にいて太平洋ミニサンマとも呼ばれ、非常に小さい。

また大西洋、南半球にもサンマの近い別属(Scomberesox)が2種いる。
Scomberesox saurus (Walbaum, 1792)/Atlantic saury /ニシサンマ
Scomberesox scombroides (Richardson, 1843) /King gar/ハシナガサンマ
この2種はともにそれほど大きくならない。
サンマの仲間で多獲性魚類として重要なのはサンマだけだ。
■写真はサンマ。

いちばん近い生き物はダツの仲間だ


同じダツ目にはサンマのダツ科、サヨリ科、トビウオ科などが含まれる。
本種のダツ目の特徴は細長い姿をしていること、トビウオの仲間(トビウオ科)以外は両顎が嘴状になっていることだ。
ダツの仲間がいちばん両顎が長く伸びていて、サンマがいちばん両顎が短い。
サンマの最大の特徴は第二背鰭、臀鰭の後ろに小さな離鰭と呼ばれる鰭があること、胸鰭は頭近くにあり、腹鰭は遙か後方に離れていることだ。

国内にいるサンマに近い生き物は当たり前だがダツ科の魚である。サンマとの違いは非常に鋭い歯を持つことだ。
サンマはダツがこの鋭い歯を退化させ、嘴(上顎)が縮んだものである可能性がある(もちろん逆かも)。
■写真はダツ。

呼び名でサヨリとしばしば混同されている


またサンマと同じダツ目のサヨリ科サヨリは姿が似ていて、生息域が重なり合い日本周辺に多い。
この2種が呼び名でも混ざり合うのは、下顎が伸びること、黒と銀のツートーンであることなど非常に似ているためだ。
サヨリとサンマで呼び名が交差しないのは東京など関東での呼び名「さんま」である。
これは「さんま」という呼び名が比較的新しいからではないかと考えている。
この呼び名での地域性はサンマの基本2で述べる。
■写真はサヨリ。


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