石花海産大型キダイの、夏の刺身
刺身に白いベールをかぶせたように見える

タイ科はタイ科であるだけで高級とは言えない。
あえて言えば高値がつくのはマダイだけだ。
キダイ(レンコダイ)は非常に上物であっても値段は平凡である。
その平凡な値段の、キダイの刺身を皿に盛り付けた途端に表面がにじみ始めた。
過去のデータを見ても、こんなに脂が豊かな個体は見いだせない。
キダイの味がもっとも安定している時期は5月くらいから7月くらいまでだと思っている。8月、9月の個体も海域によっては脂がほどほどに乗っていたので、気象庁が定義するところの晩春から秋までが旬とすべきかも。
25cm前後以上はめったに手に入らないために、ボクのキダイの旬の見極め力は遅々として向上しない。
きっちり締めて、血を抜いているので食感が強い。
それなのに柔らかく感じるのは、皮下だけではなく身にも脂が混在している証拠である。
ちょっとだけ分厚く切った身に強いうま味がある。
これにて、神奈川県松田町、「松みどり」を正一合。
悪戦苦闘の日に、ごくわずか救いを感ず。