和歌山県メカジキを大根と煮る

スーパーの魚売り場の隅っこには宝物がある


おさかな365以上日記 和歌山県メカジキを大根と煮る
近所のスーパーで和歌山県産生メカジキの「あら」を見つけて買った。
「あら」というよりも「切り落とし」だ。
やや高値だけど、捨てるところがなく、500g弱も入っているのはドテラくお買い得である。

話は変わるが、30代に食べ物の好みが変わった。変わったと言うよりも、奇なもの、上等そうなもの、世間でうまいとされているものの裏側がすけて見えるようになり、好みがの幅が極端に広くなったと言った方がいい。
たぶんその当時のことだ。徳島県美馬郡美馬町(現美馬市)の従姉妹の家で昼ご飯を食べた。父方の従兄弟・従姉妹の中で二番目に下なので、例えば従兄弟・従姉妹といっても上は団塊の世代とか、たぶん戦前生まれもいる。
特に最年長の従姉妹は、年齢からして阿波西部っ子そのものである。
「こんなもん食べんじゃろな」と、大根とじゃこ(煮干し)の煮つけを出してくれた。
これがあまりにもおいしくて、大鉢いっぱい全部食べてしまったのだ。
こんなことなどなどが、きっかけで美味は平凡(日常)にこそあり、平凡にうまいものは作りやすいものだが、それだけに得がたいものだと気づく。
以後、従姉妹の料理の味に惚れているけど、故郷に帰れない。

大根の下煮には時間がかかるので、真っ先に


さて、そのとき思ったのが大根の素晴らしさだ。
スーパーの鮮魚売場から地元野菜売り場に回り、大根を1本買った。
帰宅したら、まず大根を食べやすい大きさに切り、大きめの鍋に入れて水を張り、火をつけて柔らかくなるまで煮る。
大根の状態によっては玄米をひとつまみ放り込む。
これを水に落として、粗熱をとり、ザルなどに上げておく。
大根のすごいところは水煮しても味が抜けないことだ。
水煮するのは、大根のあくをとることでもあり、一緒に煮る素材との煮上がりの時差をなくすためでもある。

順番通りに作るといつの間にか出来ている


メカジキの切り落としは適当に切り、そのまま水を張った鍋に入れる。
火をつけて沸騰してあくが出て来たらすくい取る。
酒と砂糖を投入して、大根を加える。
ことこと煮えてきたら醤油を加える。
またまたことこと煮て、煮えてきたなと思ったら強火にしてみりんを加える。
少し煮て出来上がり。
酒の肴にもしたいため、味つけは比較的薄味にしてみた。
メカジキ大根は意外に簡単に出来上がる。

酒に合わせた薄い味付けもいいものだ


逢魔が時が過ぎて、完全に夜になり、一日が終わったときにこれで、軽く酒を飲む。
今回の酒は、新潟県上越市のスキー正宗で、これにて新潟酒はおしまい。
まこと新潟の酒はどれを飲んでもうまい。

どちらかというと優しい味のメカジキ大根が実に酒に合う。
というか味が染みた大根は食べでがあるので、酒の棘を丸くする。
それにしても薄甘くにたメカジキが柔らかくてうまいものである。
スーパーで人気があるのもわかる。
ちなみに本当にうまいのは、鍋止めして翌日だけど、作りたてだってむちゃくちゃでござりまする、くらいに優し、うましだ。
やはり大根という野菜は千両役者である。


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