マルバラシマガツオ

Scientific Name / Brama orcini Cuvier, 1831

マルバラシマガツオの形態写真

体長30cm前後になる。強く側変する。背鰭、尻鰭上に鱗がある。ヒメシマガツオ、シマガツオよりも体高があり、腹鰭前から吻にかけて丸みを帯びる。
マルバラシマガツオの生物写真一覧 (クリックで上に拡大表示)
体長30cm前後になる。強く側変する。背鰭、尻鰭上に鱗がある。ヒメシマガツオ、シマガツオよりも体高があり、腹鰭前から吻にかけて丸みを帯びる。体長30cm前後になる。強く側変する。背鰭、尻鰭上に鱗がある。ヒメシマガツオ、シマガツオよりも体高があり、腹鰭前から吻にかけて丸みを帯びる。
    • 魚貝の物知り度

      ★★★★★
      知っていたら学者級
    • 食べ物としての重要度

      ★★
      地域的、嗜好品的なもの
    • 味の評価度

      ★★★★
      非常に美味

    分類

    顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目スズキ亜目シマガツオ科シマガツオ属

    外国名

    学名

    Brama orcini Cuvier, 1831

    漢字・学名由来

    漢字/丸腹縞鰹、丸腹島鰹
    由来・語源/シマガツオと比べて腹鰭から口にかけてのラインに丸みがあるためだと思われる。
    丸腹腹鰭から下顎にかけて丸みを帯びている。「丸腹」であるため。
    Cuvier
    バロン・ジョルジュ・レオポルド・クレティアン・フレデリック・ダゴベール・キュヴィエ(Baron Georges Léopold Chrétien Frédéric Dagobert Cuvier 1769-1832)。フランスの分類学者。キュビエとされることが多い。スエーデンのリンネ、フランスのビュフォンの分類体系に解剖学や古生物学などを加味して現在の形の礎を作った巨人のひとり。

    地方名・市場名

    生息域

    海水魚。水深100mよりも浅場。
    小笠原諸島、京都府舞鶴、長崎県長崎市、三重県尾鷲、徳島県海陽町宍喰、八重山諸島。
    インド-太平洋。

    生態

    基本情報

    漁獲量が非常に少なく、一般にはまったく知られていない。
    長崎県長崎市でまとまって揚がったものを分けていただいたが、これが先々続くのかなども不明だ。
    非常に味のいい魚で漁獲量さえ増えれば人気が高まりそう。

    水産基本情報

    市場での評価/まだまとまって揚がったのは長崎県だけ。一定の評価はない。
    漁法/巻き網
    産地/長崎県

    選び方

    退色が銀色に輝いているもの。鰓が赤いもの。退色していないもの(白っぽくない)。

    味わい

    旬は不明。
    鱗は細長く皮膚に埋没していて著しく取りにくい。包丁ですき引きするべきかも。皮は薄く弱い。
    やや薄紅がかった白身で熱を通しても硬く締まらない。
    料理の方向性
    非常に強い鱗を被っているので、頭部と内臓を取り、そのまま焼くというのがいちばん簡単な料理法で、しかも他に類を見ないうまさだ。皮を引き、ムニエルや生食もいい。煮るためには面倒でも鱗を取る、もしくは皮を剥くしかないが、これもとてもうまい。
    鱗が硬く取りにくいほかは魚類中でももっとも優れた身質をしている。

    栄養

    危険性など

    食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)

    焼く(塩焼き、素焼き)、生食(刺身)、煮る(煮つけ)、汁(潮汁、みそ汁)、揚げる(フライ)、ソテー(ムニエル)、揚げる(唐揚げ)
    マルバラシマガツオの塩焼きマルバラシマガツオの塩焼き 鱗が硬く取りにくいので頭部と内臓だけ取り、水洗いする。水分をよく切り。軽く振り塩をして1時間以上寝かせる。これを皮を焼ききる思いで焼き上げる。皮目は鱗が煩わしいが香ばしく、また骨状の鱗についたみがまた美味。皮下の身はしっとりとしてうま味、甘味ともに豊かで実にうまい。素焼きにしてしょうがしょうゆ、柑橘しょうゆで食べてもいい。

    マルバラシマガツオの刺身マルバラシマガツオの刺身 硬い鱗の下にあるのは赤みがかった白身。脂は身に混在していて軟らかい。滑らかできめ細やかな身質でうま味と甘味が豊かである。例えるなら小振りのクロマグロのような食感で、より味わい深い。
    マルバラシマガツオの煮つけマルバラシマガツオの煮つけ 煩わしいができるだけ鱗を引き、内臓を抜く。このとき肝は必ず取っておく。水洗いした後、熱湯に通して冷水に落とし、できる限り硬い鱗を手で取り去る。これを酒、少量の砂糖、しょうゆの味つけで煮上げていく。塩、酒だけの味つけであっさりと仕上げてもうまい。
    マルバラシマガツオの潮汁マルバラシマガツオの潮汁 水洗いしてできるだけ鱗は取る。適宜に切り、熱湯に通して付着している鱗や滑りを取る。よく水分を切っておく。これを昆布だし(水でも)で煮だして酒、塩で味つけしたもの。実に上品な味わいだが、うま味豊かな汁になる。煮た身のうまさも出色である。
    マルバラシマガツオのみそ汁マルバラシマガツオのみそ汁 水洗いしてできるだけ鱗は取る。適宜に切り、熱湯に通して付着している鱗や滑りを取る。よく水分を切っておく。ここまでは潮汁など汁ものの基本。これを水(昆布だし)で煮だしてみそを溶く。青みなどはお好みで一緒に煮込んだあらや肝がなんともいい役をこなしている。見た目は地味だが豪華な味わいになる。
    マルバラシマガツオのフライマルバラシマガツオのフライ 鱗を引くと適度にしっとりとした上質の白身が出てくる。焼いても煮ても硬く締まらずクセのない白身だ。これを適宜に切り塩コショウして小麦粉をまぶして溶き卵にくぐらせてパン粉をつけて揚げる。香ばしいパン粉にかぶりつくととてもジューシーな白身に行き当たる。軟らかくて甘味豊かでとてもおいしい。
    マルバラシマガツオのムニエルマルバラシマガツオのムニエル 半身の皮を引き、血合い骨を抜き塩コショウしておく。これに小麦粉をまぶしてたっぷりの油でソテーする。身を取り出し、仕上げにベルエシャロット、バターと白ワインを加え、デグラッセしてソースにする。熱を通しすぎないのがコツだ。
    マルバラシマガツオの唐揚げマルバラシマガツオの唐揚げ できるだけ鱗を引き、三枚に下ろす。適宜に切り、片栗粉をまぶしてじっくりと揚げる。皮目がとても香ばしく、身が締まり、鶏肉のような食感になる。甘味もあってなかなかいい味わいである。

    好んで食べる地域・名物料理

    加工品・名産品

    釣り情報

    歴史・ことわざ・雑学など

    参考文献・協力

    協力/石田拓治さん(長崎県長崎市)
    『日本産魚類検索 全種の同定 第三版』(中坊徹次編 東海大学出版会 20130226)
  • 主食材として「マルバラシマガツオ」を使用したレシピ一覧

関連コンテンツ