相模湾の沖めばる、トゴットメバルの刺身
穏やかだけど強い味というのがトゴットメバルの刺身の味
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トゴットメバルは不思議な魚である。
生息域が広い割りに水揚げ量が極端に少ない。
水深100m前後にいる魚で、関東では相模湾から三浦半島と大島の間、沖の瀬までの海域で見られたり、釣れたりするが、それより北だと、より冷水域を好むウスメバルに取って代わられる。
ウスメバルと比べるとやや小振りで、あまりとれないので希に市場に並んでも単にメバルでしかなく、食べたことのある流通のプロもそんなに多くない。
関東では相模湾周辺では小売店でも見かけることがある。
明治になって西洋から最近の動物学を導入する。やがて動物学が幼年から青春時代を迎えたとき標本をもっともたくさん集めた場所・地が日本橋魚河岸と相模湾江ノ島、三崎だった。
相模湾では比較的よく見られるトゴットメバルは動物学の黎明期から知られていて、和名(生物学的に国内で主に使う名)もついたはずだ。
本種に最初に気づいたのは、意外に明治初期の御雇外国人教師、ヒルゲンドルフあたりではないかと思ったりする。
江ノ島でオキナエビスを見つけたのは有名だが、きっと本種も見ているに違いない。
メバル属の魚は上品な白身で嫌みがない。
ついでに言えばべっとり脂がのるということもない。
ピークのある味が好まれる現今、じょじょに存在感がなくなりつつある。
ただ年を取るにつれて、メバル類が好きになってきているのは、なぜだろう?
ボクにも食欲や妄想に支配されて、味をおいてけぼりにしていたときがあったと思っている。
人間だから仕方がないが、やっと味をじっくり感じられるようになったと思うと年を取るのも悪くない。
だからだろう、今回の沖の瀬で釣れたトゴットメバルの、ピークのないなだらかな素の味(生食)がおいしく感じられる。
トゴットメバルは量取れないので、日本海などに多いウスメバルと比べると旬が曖昧である。
3月半ばの三浦半島瀬の海のトゴットメバルは、種としてのトゴットメバルの生食の定番から外れた刺身で十二分に味わい深かった。
定番は味のある皮を生かしたものだが、刺身の方が真味に触れられる。
少ないながらも脂が感じられるし、甘味がある。
焼霜造りは刺身以上に定番といえそう
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さて、2尾もらってので焼霜造りにもしてみた。
メバル類では刺身よりもこちらが主役といった感がある。
本種の味は皮にあり、皮には焼いた香ばしさと、食感と、皮直下に脂がありうま味がある。
身の味は霞んでしまうが、味的にはこちらに軍配があがる。
酒は酒岐阜県笠原町の「三千盛」正一合で、ボクにとって青春の酒だが味変わりしたのが残念だ。

ぼうずコンニャクの日本の高級魚事典
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