逢魔が時前の、てんぱの漬け丼
てんぱとは本マの赤身の、いちばん筋のない部分だ
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3月になっても海は荒れ気味だ。
市場に魚がない日が続いている。
ある日、八王子総合卸売センター・八百屋の八百角にギョウジャニンニクが比較的安く売っていた。
ついつい手が伸びるものの、「何と合わすべきか」迷った。
八王子綜合卸売協同組合・舵丸水産に戻ると本マ(クロマグロ)の赤身を冊にしていた。
冷凍100kgもののロイン(4分の1)で、たぶん宮城県から来たものだ、とのこと。
いい値段だけど、ギョウジャニンニクと合わせるのは、これだ! と思って「てんぱ(マグロの中心部分にある赤身)」のいちばん小さいのを手に入れた。
生活が乱れているので、遅いご飯抜きの朝ご飯のために刺身にして安湯呑みに「三千盛 本醸」を半分だけ。
古今亭志ん生・金原亭馬生親子は中トロで燗酒をくいくいだけど、貧乏では負けないボクは赤身でちょろりっと冷や酒を飲む。
それにしても酒をなめなめ食べる「てんぱ」がいい。
本マの赤身のいいところは味に厚みがあることだ。
重いうま味ではなく、軽いうま味だけど、そのうま味の舌の上での時間が長い。
「てんぱ」のわずかな酸味と辛口の酒が滅法合う。
終いには新じゃがと少量のバターのみそ汁で、体がぽかぽかしてくる。
ここ数日疲れ果てているので、これにてダウンし、2時間ばかり眠る。
づけとして食べると酒が欲しくなるのが恐い
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すっきりした頭で、ここ数日のメモを整理しながら、逢魔が時でもないのに、づけ丼を作る。
ギョウジャニンニクをゆでて適当に切り、器に小山を作る。
醤油とみりんを一煮立ちさせて冷ました中に生姜の搾り汁を加えて地にする。
「てんぱ」をやや薄めに切りつけて1、2分地につけ込んでは器に盛る。
このまま食べてもおいしいけど、昼酒をやり、逢魔が時前にまたいっぱいとなりかねない。

ぼうずコンニャクの日本の高級魚事典
イラスト図解 寿司ネタ1年生



