202501/07掲載
新年早々の、いわしのつみれ鍋
マイワシ豊漁の、喜び止まる、つみれ鍋

正月が明けて早々、地味な鍋だなと偽ビールをグラスにそそいたとき、テレビに茨城県鹿島沖の巻き網漁船の転覆事故が流れた。
なんと今、ここで食べているマイワシをとっている船である。
去年から銚子産マイワシが安くて、おいしくてと思って散々買っては食べている。
暮れに、正月明けに、高値が続く中、ありがたいなと思っていたら、船が転覆するくらい豊漁だとは。
喜びの止まる事故である。
一人でも多くの漁師さんに助かって欲しいと祈るしかない。
さて、1年振りに作った「いわしのつみれ」は、大和芋多すぎでゆるゆる柔らかすぎた。
口の中に入れると溶けてしまう。
溶けながら濃厚なマイワシの脂の甘さと、背の青い魚特有の強いうま味が口中の容積を超えてぱっと広がる。
おいしいと思う前に、おいしさに圧倒される。
大和芋多過ぎは失敗ではなく、大成功だったようだ。
つみれを落とした昆布だしを鍋つゆにしたために、これを飲んだだけでもウマスギである。
マイワシのつみれに、そのつゆと、スターが出揃ったと思ったら、主役は今現在、葉物野菜でいちばん安い白菜だった。
マイワシのうま味に煮染まった白菜は、つみれ以上にうまい。
西太后に生よりこっちの方がうまいぜ、と教えてあげたいくらいだ。
汁一滴まで食べ尽くし、年の初めの地味鍋は、今年一年の計を占うが如くである。
それにも増して、新年早々の漁師の死は悲しい。
複雑な気持ちのつみれ鍋となる。