冬なのに北海道で揚がるサンマ
脂はほどほどだけど味がないサンマ

旧暦の10月半ばなので、季節は初冬である。
大正時代、林芙美子はあまりの寒さに綿入れを羽織っても耐えられないと書いている、新暦の11月だ。
そして目の前にあるのが、場違いな感じがする冬サンマの刺身だ。
一切れ食べて思った。
決してまずくはないが、もうそろそろサンマの鮮魚流通、道東での棒受け網止めましょうよ、と言いたい味だった。
「いやいやサンマ船は巨額なのだから、止められるわけがない」、とくるんだろうな。
ただ、大型でもサンマの刺身の味が、下り坂にきているだけは間違いない。
昔、千葉県銚子あたりから来ていた個体の脂の乗りだし、味でもある。
焼いても炎に包まれない焼きやすいサンマ

塩焼きも決してうまいとは言えそうにない。
確かに8月の個体よりもいいけれど、なんとなく味がない。
もちろんまずくはない。
サンマの味は楽しめる。
ただ、銚子では開き干しに欲しいサイズでもある。
鮮魚にするよりも冷凍や加工に回すべきだ。
今年はいつまで北海道水揚げが続くんだろう?
道東でとれるだけとるよりも、伊豆半島や三重県で作る丸干しのためにも、とり控えしてくれないだろうか?
今季も「熊野の丸干し」が食えない、なんて淋し過ぎるではないか。
この変化、当分買い続けて記録しておきたい気がしてきた。
見た目からして盛期ではない、道東のサンマ

11月14日、八王子綜合卸売協同組合、舵丸水産に岩手県産と北海道産のサンマが並んでいる。岩手県はいいとしても道東根室はいかんだろう。
昔はこの時季になると伊豆半島でサンマがちらほらと揚がっていたはずだし、東北が終わって千葉県銚子だったりしたのだ。
なぜ、冬に道東なんだろう。
答えは簡単、北海道東沖の水温が高いのだ。
確かに国内だけではだめだけど、個々にでもいいから省エネすべきじゃないだろうか。温暖化は今すぐ、のときが来ているのだ。
今回は130g と144gを買ってみた。これを刺身と塩焼きにする。
料理法は不要だろう。
■舵丸水産は、一般客に優しく、水洗い・下ろしなどをやってくれるので、ぜひ近くにお住まいの方は一度お寄り頂きたい。