しもつかれ
関東で初午に作られる

関東の栃木県、群馬県、茨城県、埼玉県で初午の日(今は新暦の2月の最初の午の日だが、本来は旧暦なので新暦だと3月初旬)に作られている。これを稲荷神に奉る。栃木県栃木市、栃木県小山市、栃木県宇都宮市今里、那須郡那珂川町、さくら市、群馬県板倉町、茨城県結城市では実際に家庭で作られているのを確認。埼玉県熊谷市下久(荒川沿い)では初午の日以外には作らないという。
「しみつかれ」、「しもつかり」、「すみつかり」、「すみつかれ」、「すみずかり」ともいい正確には初午の前日に作る。
この料理の起源や呼び名の意味は不明。鈴木晋一は『宇治拾物語』の「慈恵僧正戒壇築たる事」に「すむつかり」があって大豆を煎って酢をかけたもの。酢をかけると大豆に皺が寄って箸で挟みやすくなる。これを子どもがむずがって顔をくしゃくしゃにしているようだというので、「酢憤(すむつか)り」といい話が出ている。
【材料/大根、ニンジン、塩引き鮭の頭、節分の大豆、酒粕】
大根とニンジンは鬼おろしで粗くおろし、塩引き鮭の頭は焼いてぶつ切りにする。大豆は焙烙で煎って、皮を取り除く。鍋にニンジン、大根、鮭、大豆を煎れ、ことことと煮込む。塩引きが柔らかく煮崩れるようになったら酒粕をのせて、柔らかくなるまで煮て、最後に醤油で味付けする。八升だきの鍋で作るので、幾日にもわたって食べる。初午の日に赤飯と食べるとおいしい。
『聞書き 日本の食事』(農文協力)、『熊谷市史調査報告書 民俗編 第二集 食生活』(熊谷市史編さん室)『たべもの史話』(鈴木晋一 平凡社)ほか