トコブシのフライは初めての味
これほどの美味、もっと早く作っておくべきだった
天ぷらは何度もやっているが、トコブシのフライはお初である。
お初に食べて、なぜもっと早くやってみなかったんだろう。
そっくりさんである、イボアナゴではなんども作っているので、余計である。
揚げたてを食べると、これが非常においしいのである。
パン粉とちょっと厚めの衣に守られて、トコブシの足もつのわた(肝膵臓)もあまり熱が通り過ぎていない。
口に放り込むと、途端に貝らしい風味がじわっと来て、甘味がどんと舌に来る。
この強い味を包み込むパン粉の香ばしさとに大きな差があるのも素晴らしい。
トコブシはめったに八王子には来ないので、豊洲まで買いに行き、作ってもいい、といった味である。
お昼なれどもせっかくなので本物のビールをカチっとね。
今やアワビ類以上に貴重な存在に
今回のものは、八王子綜合卸売協同組合、舵丸水産でトコブシを発見した。和歌山県産らしい。
最近、アワビもトコブシも天然ものはめったに来なくなっている。
何かが海の底で起こっている、そんな不気味さがこの海藻を食べる巻き貝の減少から感じ取れる。
ちなみに徳島県海部郡海陽町竹ヶ島のバアチャンに聞くと、昔はいくらでもとれる身近なもので、売り買いの対象でもなかったようだ。それが高値で売れるようになり、やがて姿を消すのだろうか?
さてトコブシはいの一番にフライにした。
貝殻から軟体部分を外す。
このときつのわた(肝膵臓)を傷つけないこと。
流水で洗い、水分をよくきり、足に切れ込みを入れる。
小麦粉をていねいに切れ込みの間にもまぶす。
卵・小麦粉でどろっとした衣をつけ、パン粉をまとわせて揚げる。