コラム

11月最後の日の今季初カキフライ

自分で作ったカキフライと、外食のカキフライは別もの


情報処理に追われているし、雑務事務作業もあり、送られてくる水産生物もある。
たまに都心に出ると、探すものがある。
食堂・洋食屋のカキフライだ。
本来は10月の声をきくとそわそわしたものだが、今年はカキ自体が遅れている。当然、カキフライも11月になってからだと思い込んでいたのだ。
カキフライを食べるなら、あの店、この店と考えて、いざ行ってみると閉店していたり、定休日だったり、「カキフライ売り切れました」の札が下がっていたり。
このままでは一生カキフライが食べられないのではないか、と不安になる。
じゃあ、自分で作ればいいじゃないか、と思う人は人生経験が足りないと思う。外食で食うカキフライと、自分で作って食べるカキフライは別物なのだ。記念すべきカキフライは外食でなければならぬ。
本来、10月になり、厚手の上着に着替えて、食堂などでカキフライを食べてこそ、情け容赦のない時間とともに移ろう自分が感じられるのだ。
3回連続、都心でカキフライに振られ、ボクのカキフライ人生暗いなと思っていたら雑用で行った隣町の肉屋になんとカキフライがあった。
でも3個しかない。通りがかりの肉屋なので、恐る恐る、「カキフライこれだけですか?」と聞くと、「今、揚がるところですよ」という。地獄で仏ならぬ、地獄で可愛らしいオネエサンが微笑んだ。
大急ぎで帰宅して、今季初カキフライを食べた。今季初カキフライは肉屋の、となってしまったが、これでいいのである。
実際、このカキフライが非常にうまい。
まだ温もりが残っている内に大急ぎで帰ってきて食べたのもよかった。
それにしてもカキフライとはなんとうまいことか? カキの複雑うまいが、揚げたパン粉と一緒くたになり、余計に複雑うまいになる。
柔らかく濃厚なのに後口がいい。
10個ではなくもっと買えばよかったかも。
ちなみに今はなき行きつけの店では、カキフライ+ヒレカツとか、+メンチカツをしていたので、ボクのカキフライ愛には不純なところがある。
今回もいけないとは思いながらコロッケを+、した。


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