秋津トビウオはフライに限る、かな?

うま味の塊をフライにするようだ


毎年、立秋を過ぎるとやってくるのがトビウオだ。トビウオはトビウオ科の総称だけど、季節ごとに入荷するトビウオの種類が代わるのである。そして、ちょうど今頃から秋深まる頃までやってくるのが標準和名のトビウオだ。別名を秋津飛魚(アキツトビウオ)という。
まだ冬そのものの2月から市場に顔を見せるハマトビウオ、春長けてやってくるホソトビウオ、ツクシトビウオの後に、秋津飛魚がやってくる。「秋津」とはトンボ(アキアカネ)のことで、トビウオの姿とトンボが似ていること、そのとれ始める時期がアキアカネが空を舞い始める時季と重なるための名でもある
さて、トビウオは古くから東京の庶民の味であった。昔は焼いたり、煮たりして食べていたようだが、今どきの嗜好からすると淡泊過ぎる。むしろ生で食べた方が味わい深かったりする。あとは油を使った料理に向いている。
さて、台風6号が沖縄周辺で迷走している。大型なので漁業の影響も大きいようで、8月3日あたりから魚の入荷が減り始めた。
今回の台風の特徴は長期間にわたって西日本だけではなく、東日本の海にも荒天をもたらしそうなことだ。
念のために千葉県鴨川から来た初物を数本買い込んで、水洗いして三枚に下ろし、腹骨・血合い骨を取り、塩コショウして冷凍保存して置いた。
魚が我が家的に完全に枯渇した日曜日に、これを自然解凍した。
解凍時に染み出た水分を拭き取り、小麦粉をまぶして、溶き卵をからめてパン粉をつけて揚げる。
これで実にゴージャスな夕食の菜になった。
今回はフライパンに油とバターをたぎらせた中で、ソテーするように揚げてみた。
少し重い味になるけれど、トビウオの豊かなうま味とバターの風味があわさって、やたらにうまいではないか。
いつ食べても思う事だけど、トビウオフライはアジフライにおっつかっつの味なのだ。
ビールも酒も控えているので2分の1尾、1枚で我慢したが、無限大に食えそうな味である。


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