神奈川、スーパーヤオマサのかますの酢じめ

夏から秋の魚なのだ

ヤマトカマスの水揚げ

現在、小田原で水揚げされている水ガマス(ヤマトカマス)は小振りであるが、これが秋になると徐々に大きく育つ。小さいけれど、フライにすると抜群にうまいし、天ぷらにもいい。開いて干物にしてもいいと思う。
ときに愚かな食通とかなんとかが、本ガマス(アカカマス)と比べると水ガマスは劣るとか、まずいとか言うけれど、そんなに簡単に切り捨ててもらっては困る。こんな無知な話を、聞いて、読んで、食べてもいないのに、あれこれやととやかくいうヤカラがいるのも困りものである。
実は水ガマスはじっくりしっかり食べて味わえば、非常にうまいのである。
小田原魚市場に水揚げしている日渉丸、江の安、ワタルさん曰く、「100g手前くらいになると刺身は最高だよな」は非常に正確な表現であって、水ガマスの刺身は当日限りではあるが、金の草鞋を履いてでも探して食べろ、というくらいにうまいのだ。
問題はうま味豊かなのに保ちが悪いことなのだ。だから干物になり、カマスの干物で一升飯なのである。

たっぷりでしかも安い

1パックにいっぱい入った水ガマスの酢じめ

さて、スーパーヤオマサをほめるのは、最近、身内をほめるようで恥ずかしいのだけど、何気なく買った「かますの酢じめ」がイケル味なのである。
見た限りの話ではあるが、たぶん丸のままで1パックに1kg近い水ガマスを新鮮な内にていねいに三枚に下ろして、ほんのり甘い酢でしめているのだと思う。
この手間を考えるともうしわけなくなる。
感謝をしながらも、消費者は素直においしくいただくしかない。

ついつい箸が伸びるという味

ヤマトカマスの酢じめ

これが、やたらにボク好みの味でコマッチャウくらいなのである。
1パックしか買わなかったことを後悔しているくらいだ。考えてみると売り場にはコノシロの酢じめもあった。両方買えばとかったと思うと、後悔が二乗倍する。
ちなみに今どきのスーパーでこれだけの仕事をやってくれるところは少ないのである。しかも本来、売りにくい魚を工夫して売るというところがええ。
水産の未来は、イベントばっかり、御託を並べるばっかりで税金の無駄遣いすることよりも、日常にこそあり、なのだ。


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