銚子産ヤリイカと春菊で酢みそ和え

大きい割りに軽い春の雄


「たぶん今年最後になるな」と思って銚子産のヤリイカ雄を買う。八王子総合卸売協同組合、マル幸にあった最大の個体で外套長37cmだけど、重さは0.31kgしかなかった。触って身に張りを感じるものの生殖巣はないとみた。ヤリイカは産卵後もわずかの期間だけど生きている。
とにかく魚がない上に、産卵後であるためか安い。触った感覚を信じて買ってみた。
その足で八百屋まで行くと、中羽春菊の茎なしのものが売られているではないか。
春も終盤である。名残とつくかどうかは知らねど、春の菊と合わせて何か作りたくなる。
関東では中葉、小葉が多い春菊だが、ともに茎つきが多い。本当は北九州、山口県下関などで売られているローマ春菊(大葉)が欲しいものの、せめて茎なし中葉で我慢するほかない。

春菊の香りを大切にしたい


今回は当たり前だが胴(外套膜)がいちばん痩せていた。刺身は最盛期の味ではないがかなりいけた。春菊と合わせるのは耳(鰭)である。
耳はいちばん外の皮だけ剥く。水分をよくきり、表面をあぶって氷水に落とし、ていねいにまた水分を取る。適当に切っておく。
春菊は根元だけ指でつまみ切り、熱湯で軽くゆでて水に放つ。水分をよくきり、適当にきってばらけさせておく。
春菊と耳をまず手で和える。そこに酢みそを加えてさらに必ず手で和える。
酢みそは関西の白みその中でもぱきっと甘い、西京味噌を使ったので、酢と合わせるだけで他にはなにもいらない。みそと酢を合わせたらかなりしっかりこねこねする。無駄に思えるこねこねこそが酢みそ作りのコツやないかいな?
ちなみに春菊のときには山椒、柚子、すだちなどは無用だと思っている。

大葉春菊


北九州と山口県下関で売られている春菊で、老人達の一部だがローマ春菊と呼び、一般的には大葉春菊という。
柔らかくて香りがいい。

中葉春菊


春菊は小葉、中葉、大葉とあるが、関東では多くが中葉である。
また小葉もある。小葉は香りがよく、茎もおいしいが葉と茎に分けてゆでる必要がある。
これは中葉でもおなじで、茎のない方が味はともかく使いやすい。


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