2025年11月 徳島の旅6 日和佐のイセエビ刺し網漁

イセエビ漁師さんの家は日和佐川の河口、住宅街にある


徳島県美波町日和佐は紀貫之の土佐日記にも出てくる古い泊(とまり)である。
日和佐川、北河内谷川、奥潟川の河口に深く入江が入り込んんで、入り口の日和佐浦には戦国期からの日和佐城が見える。
もちろん再建したものだが、ここは長宗我部元親が阿波侵攻の足がかりにしたところだ。
四国霊場第二十三番札所 薬王寺があり、道々お遍路さんを見かける機会が多い。
町は小さいが活気がある。

イセエビ刺し網の作業場(網外しの場)は、日和佐の市街地から非常に近い。
日和佐川の河口域が長々と港であり、その水面から数メートルのところに漁師さんの家がある。
河口域を出ると、そこにイセエビの漁場がある。
午前3時、海面から数メートルと離れていないなんてとても思えない静けさである。
音が少ないから余計に寒さが身に染みる。


最近、魚はやっかいな存在になっている


「(今年は)イセエビがええんでよ」
と、漁師のオカミサンは、ちょっとだけうれしそうである。
今年は椿泊でもそうだったが、比較的イセエビが大漁だという。
そんなときには混ざりものが少ない。
イセエビの刺し網に混ざるのは徳島の場合、同じ甲殻類と巻き貝、そして魚である。
甲殻類はイセエビとゾウリエビ。

他には。
軟体類のサザエ。
この日、魚は少なくドチザメ、アカハタ、コロダイ、タカノハダイ、イシガキダイ、ブダイ、ニザダイ、カワハギ。
徳島県県南ではこの刺し網の魚がごちそうだった。
海陽町竹ヶ島では、もらったらうれしいものだったという話も聞いている。
ところが現在はカワハギ、ハタ以外はお呼びでない、といったものに成り下がっている。
競りに出しても非常に安い。
このほとんどが未利用のまま処分される。
磯魚を好んで食べた世代が年年いなくなり、次の世代が磯魚を嫌うように変わってきているのだ。
くどいようだが、漁師の老齢化も深刻である。



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