神奈川県小田原「ごっそり」を徹底的に料理する

小さいけれど刺身の味わいはとても豊かである


神奈川県小田原市、小田原魚市場、二宮定置にまた「ごっそり」がまとまって入り出した。
「ごっそり」は平均して1尾90g以下のイサキのことである。
今回のものは小は60g、大は110gで大きさにばらつきがある。
大きさが微妙に違っているし、量的に多すぎるので出荷できない。
最近ではこれを買い受ける人(買える店)があるにはあるが、ほぼダンベ(大型容器)行きである。
「ごっそり」は非常においしい、しかも安いので飛ぶように売れてもいいはず。
なのに売れないのは消費者が無知だからだ。
米の価格を騒ぐよりも、安くてうまいものを買うべし、なのだ。

さて、「ごっそり」といえばまずは刺身である。
イサキの特長は小さくても脂があること。
「ごっそり」の刺身には脂の口溶け感からくる甘味があり、しかもうま味が豊か。
これでご飯を食べると一升飯といったものだ。
ちなみに刺身はごっそり作り、そのまま食べるだけ食べて、あとは醤油・みりんに漬け込んで置く。

鱗突きの皮の素揚げはとても面白い味だ


骨と皮は水分をよく切っておく。
皮は低い温度の油に落とし、ゆっくり温度を上げていく。
決して触ってはいけない。
ただただ浮き上がってくるのを待つ。
浮き上がって来たら油の温度を上げてかりっとさせる。
ちなみに白く変色した鱗がしゃわしゃわして不思議な食感である。

骨は硬いが小型なので二度揚げするとさくさく食べられる


骨せんべいも同様に低温でじっくり揚げて、一度取り出す。
少し温度を上げて二度揚げする。

麻から茶漬け、昼も茶漬け、おやつも茶漬け


さて、漬けにした刺身は、ゴマと和えて、熱々のご飯に乗せる。
これに茶をかけてちゃちゃちゃと食べる。
ボクなどこれこそが理想的な朝ご飯である。
もちろんおやつ代わりに茶漬けもいいだろう。
イサキの刺身から出たおいしさ、醤油とみりんの味で、意外にもゴージャスな味である。

「ごっそり」は大きさばらばらの、小型のイサキのことだ


相模湾小田原の「ごっそり(小型のイサキ)」は5月下旬くらいから定置網に入り始める。じょじょに増えて、定置網でも持て余す存在になってしまう。
市場のプロ達はこのおいしさを知ってるのでおかずに持って帰ったりする。
それほどおいしいのだけど、売れない魚でもある。
今回のものは小田原魚市場、二宮定置に入ったものです。
とても感謝します。

持ち帰ったらざっと洗いいきなり斜めに頭部を切り落とす


持ち帰ったら鱗を取らないで頭部を斜めに切り落とす。
内臓を取り、ていねいに洗う。

鱗がついたまま三枚に下ろす


このまま三枚に下ろす。
腹骨と血合い骨を取り、皮を引く。

ここまで処理するのにそれほど時間はかからない


身と皮と、中骨に分ける。
身は刺身に、皮と中骨は揚げる。
これがいちばん簡単な「ごっそり」の料理法だと思うが、もっとあれこれ考えていきたい。


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