黄金の穴子は凄い! 酒焼き編
ちょうどいい肴で、正一合の酒、そして文庫本

爽やかな風吹く5月のはずが、てんやわんや、やっさもっさの日々が続いている。その上、変に蒸し暑い。
そんな5月に、日課のようになってきたのが深夜酒だ。
肴を前に、左手に大振りのグラス、右手に文庫本の深夜酒だ。
一日を三等分しているのだけど、夜の眠りを2つに分けて深夜1時過ぎに酒を正一合だけ。
5月の酒は安くておいしい、神奈川県松田町の「松みどり」である。
最近、酒はスーパーに売っているもので、平凡な値段で、自分好みの酒を買い求めている。
黄金穴子を強火で焼いて、みりんを塗っただけで、飾り気なしどころか薬味も山椒だけ。
皿は鳥取県岩美町、延興寺窯、山下清志さんの新作だけど、黄金穴子の焼き物に似合う。
焼き上がりのみりんが焦げた香りだけでも、正一合いけそうだ。
焼き物のよいところは腹にたまらないところで、ましてはマアナゴの後ろの身はうま味の塊のようで、ひとかじりが重量級の味である。
そこを「松みどり」だけど、このインターバルが長い。
酒も肴も時間を楽しむためのものになっている。
こんなものが好きになる歳なんだなと思うのも、深夜酒のよさだ。
このところ獅子文六を読み尽くしている。
『七時間半』を読みながら、ふと、獅子文六は日本のウェストレイクじゃなかろうか、と思って調べると、なんと年の差40歳で、比ぶべくもない。
展開の早さは獅子文六の方が元祖なんだと、とかとか。
これがボクの毎深夜だ。