相模湾の、青アジの旬は今だ

うま味豊か、ムロアジのよさ100パーセント堪能する


青アジ(マルアジ)はアジ科でもムロアジ属である。
ムロアジ属の魚は血合いが多く保存性が低いので、主に節(アジ節)や干ものになる。
都内のスーパーにもときどき安く並んでいるが、主に加熱用だ。
もちろん刺身用、もしくは刺身も売っているが希である。

旬は秋だと思っていたが、Kaiくんは、いまだという。
食べたら、確かに今だった。
実際、下ろすと白子を持っていて、この白子がまだ小さい。
相模湾での産卵期は7、8月だろう。
要するに7月、8月の小田原の青アジに脂がないのは産卵後だからだ。
データを見ると、9月下旬、10月の青アジは脂が乗っている。
とすると相模湾の青アジの旬は晩春と秋の2回ということになる。
何十年魚を調べてきても、教わることの方が多かりき、だ。

さて、青アジの刺身は血合いが大きいので見栄えは悪い。
マアジのような成熟した、妖艶な味でもない。
むしろ若葉のように爽やかな味である。
そこに豊かな味がある。
アジ節の原料になるのは味があるからだ、ということがわかる。
ていねいに締めているので、食感がここちよい。
しょうがも用意したが、醤油・一味唐辛子、すだちがよかった。

2日目はマアジの雰囲気を持った青アジの刺身


さて、翌日も刺身にしてみた。
恐るべし、翌日の刺身には脂が感じられたのだ。
とれた当日は食感がいいので、脂が表面に出てこなかったと見るべきだろう。
マアジに似た妖艶さと、青アジ特有の若葉の如き爽やかさがある。

明らかに産卵を控えた固体である


5月9日の神奈川県小田原魚市場、二宮定置はたいへんだった。マアジもたっぷりだったし、名物のカイワリもとれていた。
帰宅を急ぐKaiくんが、これおいしいですよ、とくれたのが、ていねいに締めた青アジ(マルアジ)だった。
26cm・251gはやや大きめである。ここでしばし青アジ(マルアジ)談義をする。

帰宅後、水洗いしてペーパータオルで巻き、夜、刺身にする。


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